Episode T

7 祈りの五時間半

父と母が語る憧太物語

 平成17年2月8日、一度出直しとなった心臓手術の日がやってきた。憧太の体調は万全。未明より絶食。7時に浣腸。8時に眠り薬を飲んだ。30分程して眠る。手術開始予定時刻は9時半、9時前には手術室へ入る予定。しかし病院の都合で開始時刻がおくれる。
 10時半、手術室へ。手術室の入り口まで母親が抱っこをして行く。 広い入り口には何人かの医師や看護師が憧太の入るのを待っているかのようにいた。一人の看護師に憧太を預け、扉は閉じた。

 手術についての説明は、元の手術予定日の数日前に行われていた。今回執刀してくださる心臓血管外科長嶋Dr,からの説明だった。「手術が必要な理由 手術方法 人工心肺について 手術に伴う合併症」 など、1時間以上かけて行ってくださった。
 「本手術の危険率は100分の3から100分の8です・・・・・・・・・・・」

この数字をどう受け止めれば良いのか・・・。

 100分の8とは・・・50分の4・・・25分の2・・・12.5分の1 ということ。この時点での憧太の命の灯の大きさである。Dr,に確認すると、この確立は、憧太の体の状態などを考慮して出した数字で、同じ手術をする人、みんなに当てはまるものではないらしい。

 手術室に入って、麻酔などの処置に1時間、胸を開き様々な処置に1時間、心臓そのものを止めて手術するのに2時間、胸を閉じるのに1時間、その他の処置1時間・・・正確ではないが、私の記憶のなかではこのように割り振られている。

 憧太を見送ってから、病室で長い時間を待つ。時計を見ては「もう心臓の手術始まったかな」「いやいや、まだよ」と、夫婦で手術室の中を想像する。それ以外の会話はほとんどない。ただ心の中で祈るだけ。この時間、我々にできること、それは祈り。別に夫婦で申し合わしてなんかはないが、それぞれの心の中で手術の無事を祈る。

 午後4時過ぎ、一人の看護師が手術の終了を告げにきた。その看護師に案内され、集中治療室へ。執刀してくださった長嶋Dr,らがベッドの小さな憧太の状態に気を配っていた。憧太は眠っている。多くの機械に囲まれ、モニターの数字が気になる。Dr.が手術は無事に出来たということを我々に報告した上で、幾つかの経過観察の必要な点について説明してくれた。

手術の副作用による臓器のむくみ、その影響によって引き起こされる肺の血圧の増加・・場合によっては急変もあり得ると・・・。また、手術によって三尖弁の機能に影響があるかもしれないことなど・・・。
 そういった心配は残ったが、とりあえず手術は終了した。

これで、憧太は楽になれる。

中央病院の先生や看護師のみなさんは元より、憧太の手術を心配し、成功を祈ってくれたすべての皆さんに、感謝の思いで一杯になった。

                                       

心室中隔欠損症修復術

 

 ・手術が必要な理由

 ・手術方法

 ・人工心肺について

 ・手術に伴う合併症

 ※注意

  《術前の説明より》

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