Episode T

5 風邪を引かすな

父と母が語る憧太物語

 県立中央病院を退院してから二週間。退院後初めての受診。この二週間で憧太の体はどうなっているのか・・・。「穴がなくなっていますっ!」などという奇跡を思ったりもした。しかし、実際は「どれだけ悪くなっているのか」という心配のほうが強かった。
 主治医を県立今治病院に移していた。我々の生活圏であるという理由からだ。小児科中野ドクターは超音波検査後、「いわゆる重度の肺高血圧ですね」・・・えっ?重度・・・?これに対して我々夫婦は意見を持っていた。「三年、五年と十分に持ちこたえる症状ならばいいのですが、そうでないのなら一日も早く手術をしてください」ドクターにお願いした。「そうですね・・・手術は、この感じだと1月か2月頃になるかと思います。また、中央と相談して進めたいと思います」 3〜4ヶ月向こうである。この期間が待ち遠しいのか、来てほしくないという気持ちなのか・・・複雑だった。
 「とにかく風邪を引かさずに、守ってあげてください」ドクターより指示を受けた。

 早速、暖房器具を揃えた。クリーンな空気を考え、オイルヒーター、そして湿度を保つために加湿器、それらを計測するために温度計と湿度計・・・。万全の体制。

 眠っている憧太を触ると、血流が良くないために、指先などは冷たくなっている。逆に言うと指先を含め、
全身を暖めてあげることで血流が良くなり、心肺への負担が少しでも軽減されるということだ。
 憧太の眠っている最中、何度も布団の中に手を入れては体感温度を確認し、手が出ていると布団にしまい、とにかく体を温めた。

 そして肝心なことは風邪をうつさないということだった。家族の中で誰かのの鼻がグジュグジュいっているとなれば、その人は憧太に近づいてはいけない。神経を使った。      

                                              つづく

                                            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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