Episode T

2 周産期センター

父と母が語る憧太物語

 呼吸障害(多呼吸)、口唇口蓋裂、多指症。生まれてすぐの診察でこのように言われ、呼吸及び全身管理の必要性から新生児専門の病院、周産期センターのNICUへ搬送された。NICU内は大きく三つのエリアに分けられており、それぞれ症状の重度児から中度、軽度となっている。
 憧太は重度エリア。すぐに主治医の山口ドクターより状態の説明があり、改めて憧太の病名が告げられた。
「口唇口蓋裂、多指症、多呼吸。しかし、多呼吸に関しては新生児に見られる一過性のものかと思われます。あと、心臓にも異常がみられました。心室の壁に穴が開いています(心室中隔欠損症)・・・」
僕は耳を疑った・・・心臓は大丈夫じゃなかったの・・・? あと、多血症も・・・。当然、染色体異常の可能性もあるため検査をすることになった。

 それから毎日この病院へ通うことになる。
二日目、山口ドクターに会うと、「良かった、今日は台風だから来ないかと思っていましたが、実は・・・」
なんと、心臓の穴は心室中隔だけではなかった。
 動脈管という本来ならば生後しばらくすると閉じてしまうはずの穴が開きっぱなしだと。これらの穴が血液の本来の流れを邪魔をし、全身へ行くべき血液がどんどんと肺へ流れ込んでしまうという悪循環を作ってしまっている。 三日目、動脈管が徐々に閉鎖の方向へ。しかし、また新たな「穴」が見つかる。心房中隔にも穴が確認された。
  四日目、母親から預かった初乳を持っていく。また新たな病名を告げられはしないかと不安だった。しかし、ドクターの口からは「少しずつ元気になっている」と。一安心。
  五日目夜、突然の電話。山口ドクターからだった。「心臓の状態が良くない方へいっている。・・・閉じかかっていた動脈管が再び開いてしまった」インドメタシンという薬で何とかなるが、脳出血を含む幾つかの副作用もあるという。すべてをドクターに任せた。・・・・結果は良好。動脈管もほとんどふさがった。このことで、緊急的な心臓への不安要素はとりあえず少なくなった。

 こうして周産期センターでの治療が始まった。残された心臓の穴は成長とともにふさがるという可能性もあり、もし手術を行うとしても時期は出来るだけ大きくなってから。今後は口唇裂と指のことで外科医と計画を立てていくことになる。
 9月27日、ダウン症であることが確定した。「やっぱりそうだった・・・」しかし、それを受け入れるのに我々夫婦に多くの時間は必要なかった
「さあ、どうやってこの子を育てようか。天より授かったこの子を」

                                                      つづく

                                            

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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