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あなたの見えている世界 わたしに見えている世界 1 | |||||||||||||
本文は憧太パパが数年前に、ある広報誌に投稿したものです。 | |||||||||||||
世の中には様々な価値観をもった人がいます。同じ物事に対しても、それを見る人によって、見方や感じ方が違うということはよくあることです。しかし、価値観とか感じ方というような、思想的または心理的な「見え方」ではなく、それが実際に目に映っている映像として考えたとき、はたして、私の見えているものとあなたの見えているものは同じ物なのでしょうか。 たとえば、いま私の目の前に丸い文字盤を持つ腕時計があります。この腕時計を見て、「これは四角の文字盤ですね」と言う人がいるかもしれない。また、私には鉛筆が三本見えているのに、「どう見ても二本です」と言う人もいるかもしれない、ということです。 人によっては、色覚的な個人差があることは広く知られています。しかし、丸いものが四角に見えたり、小さいものが大きく見えたり、場合によっては見えるものが見えなかったり、また逆に見えないものが見えたりするといった、視覚的情報に個人差はないのでしょうか。もし、それがあるとしたなら、どうでしょう・・・。 イス、机、テレビの置かれた部屋があるとします。その部屋にAさんが入り、「この部屋にはイスしかありません」と言ったかと思うと、Bさんは、「イイエ、イスはありません。テレビしかありませんよ」と言う。 まるで、オバケが見えるかどうか、と言うような話しを取り上げていますが、そうではありません。しかし、実際にそのようなことがあるのです。どう考えていいのかきっと分からないかと思いますが、現に個人によって「見えているものが違う」ということが有り得るのです。 先日、世界的ベストセラーとなった「自閉症だったわたしへ」(新潮社)の著者であるドナ・ウィリアムさんの話を聞く機会がありました。その時に、彼女の語ったことはこれまでに彼女が経験してきたこと、というよりも、彼女自身の内側にある感覚の世界で起きていた事実であり、どれもが常識的感覚では考えられないものでした。 ドナ・ウィリアムは1963年オーストラリア生まれ。自閉症という障害を持ちながら、'92年には世界で初めて自閉症者の精神世界を内側から書いた人で、現在も多くの書物を著しており、世界各地で自らの体験にもとづいて、自閉症についての講演活動を行っています。 つぎへ
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