水明編

 

<コサギ>Egretta garzetta ★〜★★
Little Egret (KOSAGI)
鳴き声:グゴガガガガァ(カラスのつぶれたような声)
観察のポイント:街中の用水路にもいて、この連中はきわめて人馴れしている。かえって蓮根畑などのほうが観察しづらい。

 

<チュウサギ>Egretta intermedia ★〜★★
Intermediate Egret (CHUUSAGI)
*山口県絶滅危惧U類
鳴き声
:クコカカカァ(コサギより少し甲高い)
観察のポイント:もっぱら蓮根畑。ほぼ必ず単独行動。

 

<ダイサギ>Ardea alba
★〜★★
Great Egret (DAISAGI)
鳴き声:クカカァ(短めに鳴くことが多い)
観察のポイント:蓮根畑か周辺の海岸など。夏場は少ない。冬のほうが観察容易。

 小中大の3種類のうち年中いるのはコサギで、くるぶし(厳密には違うが)まで黒、下が黄色という特徴的な脚を抜き足差し足しながら水辺を歩き回る様子が、サンダルを脱いでズボンの太ももをたくし上げながら子供の水遊びに付き合うお母ちゃんみたくもある。なぜか岩国の白鷺は天然記念物だが、言うほどのありがたみは全然なく、そこらの側溝にあたりまえのようにいたりする。
 ある小春日和、幅2mほどのコンクリ護岸の麻里布(まりふ)川。橋の上で老夫婦が欄干に並んで腰掛け、携帯ラジオを聴きながら日向ぼっこ。そのすぐ2mほど後ろの道路際で、1羽の白鷺が太公望。なんとものどかな風景であった。ふと視線を横にやると、反対の護岸でカワセミが川面を見つめていたという、嘘のような本当の話。
(03.02.25)

コサギ。よく目立つ黄色い足先で、ほかのシラサギ類とは識別容易。アオサギとともに市内全域で普通に見られる。この鳥、姿はきれいだがとんでもないダミ声で、カラスの臨終みたいな「グゴガガガァ」といううなり声を立てる。
チュウサギ。全体的なフォルムはコサギとよく似ているが、頭の飾り羽がない。くちばしの根元が黄色、先が黒というのも特徴だが、個体差がかなりある。3種の中では一番少ないといわれるものの、岩国ではそんなに苦労して探すほどのことはない。いちおう夏鳥。屯田兵のコサギにとっては蓮根畑は単なる選択肢の一つに過ぎないが、来客の中や大はほとんど蓮根畑に生活の場を限定している。
ダイサギ。アオサギとさほど遜色のないサイズもそうだが、圧倒的に長い首が目立つ。長すぎて曲げるなどという生半可なものではなく、ご覧のとおりクキクキと折りたたむ感じ。どういう骨のつくりになっているのだ?分類上はシラサギのくせにアオサギと同属で、しかも厳密には亜種チュウダイサギとオオダイサギに分かれ、前者が夏鳥、後者が冬鳥というが、さっぱりわからぬ。

 

<アマサギ>Egretta ibis ★〜★★
Cattle Egret (AMASAGI)
鳴き声:あまり鳴かない。
観察のポイント:岩国ではもっぱら蓮根畑。春先は亜麻色ですぐわかるが、次第に真っ白になるので見落としやすい。

 英名を牛サギといい、本来は牧場や畑で暮らす連中らしい。岩国の蓮田ではいまいち勝手が違いそうだが、何だかんだ言いながらちょくちょく顔を出しているようだ。尼鷺と表記することもあるが、やはり亜麻鷺のほうが妥当だろう。冬は真っ白で、夏になると左写真の状態となることになっているが、6月末に撮影した右写真では白いままのものもいる。中にはなかなか見事なライオン丸みたいなのもいるが、シラサギ類の中ではかなり短足の部類なので、二枚目に徹しきれないのが彼らのいいところ。渡来してすぐにお百姓さんのトラクターのそばでエサをねだる人なつっこさも。

 

<アオサギ>Ardea cinerea ★〜★★
Gray Heron (AOSAGI)
鳴き声:クエッ(明石屋さんまの十八番?)
観察のポイント:ほぼコサギと同じ。でかい図体で用水路にもぐりこんだりする。きわめて観察容易。
 岩国では多分最大の野鳥で、ツルみたくでかいが、これがまた多い。夜明けの暗い時分から、飛びながらよく通る大声で「ゴワッ!」と鳴いたりする。グレイにくすんだ濃紺のラインが比較的明瞭。昼間の生活はほとんどコサギと同じで、あちこちの水辺にいるのを見かけるが、それなりに歩き回るコサギと違い、ただただじっとしているだけという印象が強い。漁船の船べりで仏像のようにぼんやりたたずんでいる姿は、きわめてオッサン臭い。一方、今津川の河口あたりなどでは、数mおきにズラリとならんで潮が引くのを待っていることがあり、鴨川のアベックもかくやの盛況を呈する。
 シラサギ、アオサギとも世界的に広く分布。英語では前者をEgretイーグレット、後者をHeronヘロンと呼ぶが、ほかはアオサギが基本となるらしく、独Reiherライアー、伊Aironeアイローネ、仏Heronエロン、露цапляツァープリャはどれもアオサギのこと。
(03.02.25)

 

<ゴイサギ>Nycticorax nycticorax ★〜★★★
Black-crowned Night Heron (GOISAGI)
鳴き声:クワッ(特定のカラスの鳴き方に似てなくもない)
観察のポイント:梅雨期は蓮根畑の中に多いが、普段は「五位ケ淵」にたむろしている。脅かさなければじっとしていて観察容易。しかしこのポイントで一部伐採が実施され、以後観察数が減少。
 別名を夜ガラスといい、英語でもナイトヘロンと呼ぶ。昼間はもっぱら木立に集まって寝ており、たまにカラスのような声で鳴き交わしている。夜遊びばかりするせいか(?)昼間見ると目が充血して真っ赤。なんでも、醍醐天皇のわがままに付き合った褒美とかで五位の位をもらったんだそうで、およそ本人にとってこれほどどうでもよい命名もなかろう。若鳥は茶色系統のまったく違う色調をしており(鹿の子模様からホシゴイという)、最初のうちは目玉も黄色いが、しばらくすると夜遊びを覚えて充血する。
(03.05.19)
 これも撮影場所は南岩国。たかだか2km四方ぐらいしかないところに6種類もの鷺がひしめく。左が親。いかにもジャパニーズな名前だが、色合いは上面デッキブルー、下面グレイ系の米海軍式迷彩だ。右がいわゆるホシゴイ。羽の色柄といい黄色の目玉といい、あらかじめ入れ知恵されていなければ同じ種類とはわからない。しかし中写真のような中間形態のものもいてくれるので、シロートウォッチャーとしては大変ありがたい。
 普段は五位ケ淵でたむろしているが、営巣地は別にあり、4〜5月ごろには昼間から蓮根畑をウロウロしている親をよく見かける。

 

<ササゴイ>Ardeola striata
Striated Heron (SASAGOI)
*山口県準絶滅危惧種
鳴き声
:聞いていない。
観察のポイント:ほんのまぐれあたり程度。年に1回見ればいいほう。
 ゴイサギの類似品にササゴイというのがいて、地方によってはマキエをして魚を捕まえるというので一般的な知名度はゴイサギを上回るが、数は圧倒的に少ない。青い翼に名前の由来となったササガキ模様があり、大人でも目が黄色いが、それよりも写真では目元の特徴的な黄緑色がよく映える。写真は2005年夏撮影の幼鳥。どこで繁殖しているんだ?

 

<アカガシラサギ>Ardeola bacchus
Chinese Pond Heron (AKAGASHIRASAGI)
鳴き声:鳴かなかった。
観察のポイント:2015年5月に1度観察。
2015年5月飛来。自分でも珍種という自覚があるらしく、蓮根畑の中の草むらからポンと飛び出して向こうの草むらにバッと入っていってしまった。もちろん観察はこの1回だけ。
(16.03.10)

 

<クロツラヘラサギ>Platarea minor
Black-faced Spoonbill (KUROTSURAHERASAGI)
鳴き声:鳴かなかった。
観察のポイント:特別ゲスト。ぼんやりしていると普通のサギと見間違う。
2012年4月観察。いっぺんその場を離れて1時間後に戻ったらもういなかった。サギと名がついても実際は別のトキ科なのだそうで、とにかく数が少ない。サイズはダイサギ並で、くちばしが黒くてでかいから目立つと思いきや、シャモジになっていない側を見せられるとシルエットがコサギに似るので、千載一遇のチャンスがあっても見逃す危険性あり。見逃さなくてやれやれ。実に偶然ですが2か月前に福岡の今津干拓で見たばかりだったのも幸いした模様。少なくとも1名のマニアが必死でカメラに食いついていたけど、たぶん観察できた人は他にいないのでは。
(12.10)

  

<カイツブリ>Podicepus ruficollis ★〜★★
Little Grebe (KAITSUBURI)
*山口県準絶滅危惧種
鳴き声:キョレレレレ・・・(警戒音。これで存在に気づくことが多い)
観察のポイント:初夏の繁殖期は見ないが、それ以外は河川と基地・蓮根畑外縁の水路に普通。行動圏は汽水域までで海岸には出ない。単独行動がほとんどで、たまに数羽の群れがいる。大体いつも同じところにいる。
 水鳥の割にはかなり小さく、丸まったハトといったところ。体温管理の問題を考えると小さいのは水鳥としては考え物だと思うのだが、彼らは決してヤワな鳥ではない。真冬のある午前、降りしきる雪と強風に見舞われ、カモも飛んでこない陰鬱な門前川の水面で、1羽のカイツブリが無心に漁を繰り返していた。もはやこれは感動的でさえあった。
 夏場は岸辺の茂みの中で浮き巣を作って子育てをするという。分布は世界的にもかなり広いらしい。英名「小カイツブリ」で、カイツブリ科の本家ながらサイズは最小の部類に入る。
(03.08.01)
右の3枚の写真は全て同一個体で、左から11月、2月、3月撮影。冬羽から夏羽への換羽の様子がよくわかる。
出くわすときは九分九厘水上で、このように石の上に上っている状態はなかなかお目にかかれない。岩国では麻里布川のようなところにも住んでいて、ちっとも珍しくないのだが、山口県では準絶滅危惧種に指定されているとか。基地内部で繁殖しているらしく、近年内堀が拡大したためか増えたような印象。2011年1月には門前川で12羽もの群れを観察。 

 

<カンムリカイツブリ>Podicepus cristatus
Great Crested Grebe (KANMURIKAITSUBURI)
鳴き声:鳴かない。
観察のポイント:南岩国の海岸で越冬。以前は数羽程度だったが2010年代に急増し、100羽近い大群を観察することもある。特定個体は河川の中流域まで進出する。サイズからうっかりカモと勘違いして見落とすことがある。
 同じカイツブリでも、こちらは最大の部類に属し、カモ連中と遜色ないほどでかい。冬になるとやってきて、厳冬期には錦帯橋の付近でもうろうろしているが、やはり海岸で見る機会が多い。上の左が冬羽、右が夏羽だが、渡来当初から後者に近い状態のものも目にする。しかし下右の鳥、くちばしを羽根のあいだに仕舞わないで、頭を背中の上にバッタリ倒して寝ているぞ。
(03.11.25)

 

<ミミカイツブリ>Podicepus auritus
Slavonian Grebe (MIMIKAITSUBURI)
鳴き声:鳴かない。
観察のポイント:南岩国の海岸。はっきりいってハジロカイツブリとうまく見分けられない。
 1月も末になってやってきた冬鳥。南岩国の沖、カンムリカイツブリのお気に入りポイントにちゃっかり居ついていた。カイツブリより心持ち大きめで、少し背中がゴワゴワしている感じ。よく見ると目が赤いのが決め手になるが、そもそも存在に気づいたのは、普段カイツブリがいない外海側にいたから。
(04.01.26)

 

<ハジロカイツブリ>Podicepus nigricollis ★★
Black-necked Grebe (HAJIROKAITSUBURI)
鳴き声:鳴かない。
観察のポイント:南岩国の海岸。はっきり言ってミミカイツブリとうまく見分けられない。
2004年12月撮影。この距離とピントではミミカイツブリと区別するのは難しいが、耳の後ろの塗りわけがぼんやりしているという外見上の特色以上に、集団行動の特性で本種と判定。全部で6羽いたが、とりわけ写真の3羽が仲良く並んで潜水浮上を繰り返す様子が、なかなかテンポ感があってよろしかった。常連のカンムリカイツブリ、水路側のカイツブリとあわせ3種十数羽も同類が集まると、さすがににぎやか。鳴かないけど。
(04.12.21)

 

<バン>Gallinula chloropus
Moorhen (BAN)
鳴き声:クルルゥ、ないしコウと聞こえる。
観察のポイント:専ら蓮根畑で繁殖する。以前は尾津で大発生していたが、2005年頃から激減。しかし周辺地域のごく小さい蓮田で相当数が分散繁殖していることが判明。さほど人を恐れず、巣さえ見つかれば初心者でも簡単に繁殖活動の始終を観察できる超オススメ種。冬場も周辺の河川などを探せば見つかる。
 鳥ヘンに番と書いてバン。どうやら中国由来の名前らしく、漢和辞典をひくと番についてなにやらイマジネーションをかき立てる記述があったが、この字はあまりに由来と意味が漠然としていて、要するにはぐらかされたのであった。それと比べれば、英語のMoorhenムアヘン(湿地の鶏)、独語のTeichhuhnタイヒフーン(池の鶏)のほうがよっぽど名は体を表すでよろしい。
 岩国では、ツグミの渡去、オオヨシキリが鳴きだすのと時を同じくして、気がつけば蓮根畑じゅうバンだらけとあいなる。夏鳥だが越冬もするという話のとおり、岩国では冬場も各所でちらほら見かけるが、なんぼなんでも岩国じゅうのバンが申し合わせて蓮根畑に集まるわけでもなかろうから、主力はやはり渡来組らしい。クイナ科といえばヤンバルクイナに代表されるが如く、普通はきわめて臆病な性格だというが、バンについてはこれがまったく当てはまらない。5月はじめ、まだ水を張ったばかりでほとんど何もさえぎるもののない蓮田のあちこちで、単独から数羽の集団まで思い思いの編成をとってくつろいでいる。鳴き声も「コウ、コウ」といった鶏を明快にしたような調子で、たいへんよく通る。渡ってきて間がないはずなのに、ずっとそこにいたようなリラックスぶりがふてぶてしくもありほほえましくもあり。やはり英独の命名はすばらしく的を射ているといえよう。
(03.05.19)
 蓮根畑を歩いていると突然足元からのこのこ出てきたりするが、飛ぶでもなし、全力で突っ走るでもなし。この逃げ方のなまくら加減がまたいい。額にある赤い部分は額板といって硬い構造だが、印象的にはやっぱりとさか。脚に水かきがないくせに、やたらと泳ぎが好きという変な習性もある。つんと跳ね上げた尻尾を振りふり泳ぎ回る姿は、まさしく「池のニワトリ」だ。
 梅雨時にもなると、雛もあちこちで見かけるようになる。黒いビニールをかぶせた畦は、日向ぼっこに最適の場所。ただし、足元には注意しないと滑ってコケてしまう。小さい雛は真っ黒の産毛だが、少し大きくなると茶褐色と白のツートンになる。雛よりも親に似ていない。その年の最初に巣立ったお兄さんお姉さんたちは、2回目の繁殖で生まれる弟妹の面倒見を手伝うのだとか。9月に入って蓮の花が終り、ぼちぼち蓮根の刈り入れが始まる頃には彼らも「生産終了」。彼らがいなくなると、蓮根畑は突然秋の装いだ。

 

<オオバン>Fulica atra ★〜★★★
Waterhen (OOBAN)
*山口県準絶滅危惧種
鳴き声
:聞いたことがない。
観察のポイント:当初はほんの1,2羽が越冬する程度だったが増加。額の白で簡単に区別できるから、無理に探すより待ちに徹するほうが無難。
 用水路のようなところをヘコヘコ泳いでいたりして雰囲気的にはバンと同じだが、配色がバンほど派手でなく白黒ですっきりまとめているので、見間違うことはない。英名waterhenウォーターヘン、独wasserhuhnヴァッサーフーン(水の鶏)が示すとおり、バンより水上生活に特化していて脚に水かきの真似事のようなものを持っている。バンのように畦道をスタコラ走って逃げるような場面に出くわすことはほとんどないようなので、特徴的な脚を見る機会はそうそうないはずなのだが、なぜか私の場合は初めて本種と出合ったときに見ることができた。めでたしめでたし。
 本種は岩国では珍しく増加傾向が顕著な鳥で、当初は上記のようにほとんど見なかったが、次第に増加し2010〜11年と次の冬は愛宕橋以下の市内各所で合計数十羽を観察。30羽程度のかなり大きな群れも見られるようになった。民家の石垣のすぐ下で休憩するなど、かなり人慣れしたグループも現れた。越夏個体がいる可能性すら出ている。どこかよそから追い出されたのか、誰かが呼び寄せたのか、興味深い。
(03.12.5)
 写真は初観測の様子。11月末、五位ケ淵の外側にある遊水池で撮影。つがいらしいのが石の上でおくつろぎだが、実はカイツブリのところで紹介した写真の続きで、彼らを押しのけてここにいるところ、やはりバンの上を行くだけのことはある(それはオバンでは)。カイツブリの無念そうな様子がなんとも・・・といっても、この連中はいつもキョトンとしたような同じ表情だが。

 

<ヒクイナ>Porzana fusca
Rubby Crake (HIKUINA)
*山口県準絶滅危惧種
鳴き声
:聞いたことがない。
観察のポイント:年に1回ぐらい見かけていたが、神出鬼没で生息の実態は不明。近年観察なし。
 12月末に初観測したのはベースのそばの側溝だったが、写真は夏場の蓮根畑。してみるとバンと同様の生活をしているようだ。一回り小さく、多少神経質で当方の気配を感じると遠慮がちに茂みへと入っていったが、付近を一巡りして戻ってみたらまた同じところでえさをあさっていた。憎めない奴である。
(04.01.26)

  

<クイナ>Rallus aquaticus
Water Rail (KUINA)
鳴き声:聞いていない。
観察のポイント:2012年1月の1回のみ観察。

 警戒心が強いと聞いていたので余程のことがないと見られないだろうと思っていたら、2012年元日に蓮根畑の側溝の中で身じろぎもせず立っていた。近づいても眼をしばだたかせるだけで全然逃げようとしない。翌日の朝方雨が降って心配だったのでもう一度行ってみたら案の定。バードウォッチャー数多しといえどもクイナを埋葬したことがある人はそうそういるまい。ほとんどの鳥は一生に1回写真を撮られるか撮られないかだろうから、ほとんどの場合は遺影なのだろうけど、さすがにこの写真は載せたくない。
(12.10)

 

<ヒドリガモ>Anas penelope ★〜★★★
European Wigeon (HIDORIGAMO)
鳴き声:ピュウー、ピィーユゥ(ナイロンをすったような音)
観察のポイント:カモ類の中では中型。10〜4月にかけて今津川・門前川に大量に浮いている(やや減少傾向)。アップの写真を撮るだけなら、吉香公園内のお堀に行くといい。ここの連中は人間のまいたエサを喜んで食うが、そのノリで外の連中にエサを撒いても決して近寄ってこないので注意。全体からすれば数は少ないが、海岸や蓮根畑の中でも見かけるし、たまに河原の畑で草むしりしていることもある。
 越冬のため岩国にやってくる鴨は、なせか本種が圧倒的に多い。川面に数百羽のヒドリガモがゆれている風景が延々約1kmにわたって続き、冬から春先にかけての風物詩となっている。アオノリが主食なので、もっぱら見晴らしのきく川の上にいるのも目立つ理由。首から上が緋色の鳥だから緋鳥鴨なのだとか。なんでそんなくどい名前なのだろう。ヒガモではいけない理由でもあったのか?
 カモの鳴き声というと、たいていの人はドナルドダックのダミ声を連想するだろうが、ヒドリガモの声はずっときれいで、笛というかナイロンの擦れるようなというか、ピュー、ないしピィーユゥという感じ。また、英語でカモの類は、やはり何とかダックというのが多いが、ヒドリガモは単にWigeonウィジョンと呼ぶそうなので、きっと外国でもでかい顔をしているのだろう。
(03.02.25)
 左の2羽がオス、右がメス。オスの模様は、左のような額の護符付きが本来だが、ないものも多い。
 どういうわけか、一部のグループだけ吉香公園のお堀に居ついてしまった。外の連中はみんな近づくと逃げていくのに、この連中は喜んで寄ってくるから呆れる。しかも大概口が肥えていると見え、私はおにぎり海苔やらかつお節やら刻み昆布やら勧めてみたが、一向に食わぬ(何を勧めとるんじゃ)。麻の実はほんの付き合い程度、フランスパンもだめ。結局、付近で売っている鯉のエサのカッパえびせんが目当てらしい。どっちもどっちであった。まあともかくも、大勢のヒドリガモの中で何故彼らだけが人間様からエサをもらうことを覚えたのか、興味深い事例ではある。

 

<コガモ>Anas crecca ★〜★★★★
Green-winged Teal (KOGAMO)
鳴き声:ピリリリ(バスガイドの笛にそっくり)
観察のポイント:ハトより少し大きいぐらいの小型種。春秋の渡りのシーズンには、蓮根畑に数百羽単位で集結することがある。ただし近年この渡り組は減少傾向顕著。渡来当初は翼鏡のエメラルドグリーン以外に特徴のない色柄だが、11月ぐらいに換羽が済むとオスの頭の変な模様が印象に残る。渡りの時期は錦川にもいるが、近くで観察するなら断然麻里布川。越冬組は堅調に推移。
 子鴨ではない。この連中は岩国を渡りの中継地点に設定しているらしく、厳冬期はさほど多くないが春と秋にはやたら多く見かける。4月中ごろの大挙襲来に続いて9月末に戻り便が来るが、さらに数が増えて10月中旬の蓮根畑は一年で最も盛況を呈する。かつては数百羽単位の群れをいくつも編成し、盛んにデモンストレーション飛行(?)を繰り返していたが、近年はやや減少している印象。ただし周辺河川での越冬群は増加傾向にあるのではないかと思う。
(03.11.16)

左が秋に渡ってきた頃のコガモ。オスもメスもこの調子で、何の芸もない色柄だが、翼の上にのぞいている翼鏡のエメラルドグリーンが特徴的。だいたい11月じゅうに換羽を済ませ、右写真のような状態になる。手前の妙な隈取模様のものがオス。越冬組の中には麻里布川のような街中にも出没するものがいる。

 

<カルガモ>Anas poecilorhyncha ★〜★★★
Spotbill Duck (KARUGAMO)
鳴き声:グワッグワッ(いわゆるカモ・アヒルの声)
観察のポイント:常連カモ類では大型の部類。蓮根畑では年中観察可能。冬場の見通しのいいときでも、結構あちこちでのんびりしている。しかし親はかなり神経質で、都会でよく話題になる親子連れは岩国では滅多に見られない。梅雨明け以降、子供がかなり大きくなってから蓮根畑のあぜで休んでいるのを見かけるようになる。
 雌雄同色、しかも留鳥という、カモ界きっての偏屈者。しかし、東京のある図々しいひとつがいのせいで、他のどのカモより知名度が高くなってしまったのが皮肉。しかし注意せよ。私は彼らが羽ばたくときにキッキッという金属性のきしみをたてるのを、しかと聞き届けたぞ。やつらはもしかすると、カモ撃ちを危険視する何者かが世論操作のために送り込んだサイボーグ部隊かもしれないのだ。もっとも、私はカモ撃ちなどしないからどうでもいいのだが。
 カルガモはインドから東に分布。実際、冬の狩猟シーズンには数十万羽単位で撃墜されているのだとか。
(03.05.19)

 岩国では蓮根畑に行けばまず間違いなくお目にかかれる鳥。春から初夏にかけて見かけるのはほとんどつがいで、7月も末になると3羽以上の群れを見かけるようになる。秋になると、明らかによそから渡ってきた連中と思われる群れが数多く見られる。右は定番カルガモ親子。都会ではまるっきり人間様を怖がらないらしいが、少なくとも岩国ではかなり周囲に神経を尖らせている様子。果たして生存率は如何。このような親子は空港拡張工事が進んで敷地内に広大な遊水池ができた頃から観察できなくなり、基地内にとどまって繁殖している可能性あり。

 

<マガモ>Anas platyrhynchos ★〜★★
Mallard (MAGAMO)
鳴き声:グエッグエッ(まあアヒルとおんなじようなもんだし)
観察のポイント:ほぼカルガモと同大。冬場、尾津沖の海岸に集中。若干数が囲堰付近の河川域や蓮根畑の内部に出没する。また、ごく一部が越夏する(アイガモ?)。白カモ夫婦は知る人ぞ知る(?)今津川の主だった。
 まあカモといえば、やっぱりこの鳥だろう。北半球の一般種で、ご存知アヒルのご先祖様。岩国でも冬になると普通に見かける鳥だが、多いのは門前川の河口付近で、あとは蓮根畑や囲堰周辺でちらほら夫婦連れを見かける程度。愛宕山開発土砂の積み出しラインが撤去されてからかなり減少したが、門前川などに一部が散開し減少幅はある程度抑えられている模様。
 マガモ自体は英語でマラードと呼ぶが、一般的なカモを辞書で引くと、独Enteエンテ、仏Canardカナール、これはいわずと知れた先尾翼形式の語源。伊Anatraアナトラ、露уткаウートカ。いずれもアヒルとカモを分けていないので、野ガモを指す場合はいちいち「野生の」という形容詞をつけなければならない。それも面倒ではあるが、大体アヒルという名前は誰が付けたんだろう。謎は深まるばかりである。
(03.11.16)

 11月、今津川の洗堰付近でくつろぐマガモ夫婦。撮影者との距離は10mもないので、場所が場所ならナベに一直線だが、もちろん禁猟区だから鉄砲を向けられる心配はない。連中もそのことがわかっていると見える。
 岩国名物といえば白蛇だが、まさか白カモまでいるとは。右のつがいは極端に人を怖がらないのだが、実はこの連中、夏でも岩国に居ついていたのであった。他にもごくたまに盛夏でも本種を見かけることがある。どうやらアヒルとの交雑と関連がありそうだ。残念ながら寿命でも来たのか見かけなくなった。

 

<ヨシガモ>Anas falcata ★〜★★★
Falcated Duck (YOSHIGAMO)
*山口県準絶滅危惧種
鳴き声
:ピュイイー(尻上がり。シギ類に近いイメージ)
観察のポイント:ほぼヒドリガモと同大。秋口に極少数のエクリプスが飛来しているが、本格的に増えるのは年末にかけて。潮が引き始めると沖のほうから大挙して海苔をついばみながら遡上し、その後中洲で散開しておもむろに食事を取る。どちらかというと春先の渡去まぎわのほうが、被写体向きののんびりしたやつを探しやすい。
 野鳥ファンには名高いパンダガモ(ミコアイサ)に対抗して出現した「ナポレオンガモ」。後頭部の毛が少し張り出し、オスはそれに合わせるような頭の塗りわけになっていて、ちょうど側面図がナポレオンの帽子状というわけだ。首から下も黒白でシックに決めていて、ギョーザ頭とはいわせんという断固たる意思さえ感じる。メスの見た目はごく普通。
 英名は「鎌頭」。極東限定種で数もさほど多くないらしいが、とりあえず岩国では普通。
(03.12.5)
 オスの頭はグリーンのラメで、前のほうはやや茶色。成熟すると尻尾の毛がカールして白い部分にかぶさり、ゴージャスさアップ。
 早いものは10月中に来ているが、12月中旬から1月頃に本隊が到着。大挙して今津川に繰り出し、連帆橋より下流でごく普通に見かけるようになる。多いときは100羽を越し、岩国では堂々上の4種に次ぐ多数派にランクインする鳥だが、それでも何となくレッドデータ的ありがたみを感じるのは、ひとえに見栄えのよさと見た。新寿橋の架け替え工事の影響かバスフィッシャーの増加による環境悪化からか、一時期減少し、多くても50前後になっていた。工事が終り再び3桁に届くようになったようだが、以前より沖合に居座ってあまり上流に上がってこなくなっている印象。
右は初秋に見られる換羽前の状態、いわゆるエクリプスの雄。なるほど、これはオカヨシガモに似ている。しかしエクリプスとは洒落た名前をつけるものだ。

 

<オカヨシガモ>Anas strepera ★〜★★
Gadwall (OKAYOSHIGAMO)
鳴き声:記憶になし。
観察のポイント:門前川でヒドリガモと混合。サイズもほぼ同じ。漸増傾向にあるが、地味なのであまり本腰入れて観察する気にならないのが本音。
 ヒマだからたまにはいつものカモ連中でもじっくり観察してみようか、と思い立ち、ぼんやり眺めていてふと気づいたらいたのが本種。というか、最初はなんか黒いなあと思って写真判定したらこいつだった次第。左がメス、右がオス。ご覧のとおりカルガモに次ぐオスの地味さ加減で、派手なヨシガモとどういう脈絡があってオカヨシガモかよくわからん。あらかじめ心構えがないと絶対わからんぞ。そういうアンバイであるから、気がつけばそこそこの数がいるし、いつもよく見えるところにいるのに、いつからいたのか見当がつかない。2010年以前は20羽いればいい方だったと思うが、最近増加傾向にあり、2015〜6年には50羽前後いる模様。
(03.12.5)

 

<ハシビロガモ>Anas clypeata
Common Shoveler(HASHIBIROGAMO)
鳴き声:記憶になし。
観察のポイント:アイデンティティはくちばしだけといっても過言ではない。以前は冬場に何羽か見かける程度だったが、どうやら増加傾向らしく安定して観察できるようになった。
くちばしが広いのでハシビロガモ、英語でショベラー。サイズは大体ヒドリガモ程度で、メスは柄も似ているが、でかくて黄色いくちばしでまず気がつき、そこから頭にいたるラインの特有さに見入り、逃げられたあと空中でバンクするところでくちばしの幅の広さを実感する。オスはアヒルの勘違いといった風情。この種類も微妙に増加しつつあるようで、2010年代中ごろにはコガモやカルガモに交じって街中の貯水池やどぶ川でも見られるようになった。
(03.12.5)

 

<オナガガモ>Anas acuta ★★
Pintail (ONAGAGAMO)
鳴き声:あまり鳴かない。
観察のポイント:中型。いちおう越冬するが、特定場所以外ではほとんど見ない。蓮根畑でたまに観察。
 北半球全体にはびこっている種類で、日本でも冬になったらそこらじゅうにウジャウジャいる。左写真は2004年11月初旬撮影。名前ほど尻尾が長くないのは若い鳥か。完全に換羽が済んでいるのですぐ識別できたが、とかく大群衆の印象が強い本種がたった1羽でポツネンと浮いているのがなんとも不思議な風景だった。ホシハジロと同様に長らくまったく見かけなかったが、去年までおさえていなかったポイントで越冬することが判明。ただし年により増減がある。
(04.11.08)

ちなみに右写真がオナガガモのエクリプスと思われる個体。10月頃に蓮根畑をよく探すと見つかることがある。

 

<シマアジ>Anas querquedula
Garganey (SHIMAAJI)
鳴き声:知らん。
観察のポイント:2004年10月、2006年4月に蓮根畑で観察。以後も年1回見るか見ないかのペースで確認。ただしコガモの中に混じっているので、見落としている可能性大。麻里布川に飛来したことがある。
 鳥か魚かどっちやねん。ほぼコガモと同大で、オス夏羽はマミジロみたいなトンちゃん眉毛(ほとんどみんな忘れているのでは)が目立つが、秋に見かけるのは目の上下にかすかな二の字の白線があるだけ。大量に飛来するコガモの中にまぎれられると、こっちもいちいち調べないので見過ごす危険性きわめて大。なぜか日本では越冬しないらしい。
(04.10.20)

 

<キンクロハジロ>Aythya fuligula ★★
Tufted duck (KINKUROHAJIRO)
鳴き声:あまり鳴かない。
観察のポイント:サイズはヒドリガモとコガモの中間。一時期減少したがまた増えた。
 英名は「フサつきカモ」で、後頭部に年中寝癖がついているためらしい。オスは真っ黒の胴体中央部に真っ白い四角の切り抜き模様が入っていて、はるか遠くからでも一目瞭然。上にあげたほかのカモと属名が異なるだけあって、全体の体形もどことなく違っている。
 囲堰から愛宕橋周辺で越冬する1グループがいて、この冬はいつ来るのだろうと思っていたら、どうも左写真の連中がそれらしいと気がついた。もう12月だというのに、まだ夏羽(?)だったのだ。右は1ヵ月後の撮影。こうなればオスメスの区別もばっちり。一時期ほとんど見かけなかったが、この鳥も2010年代に増加しており、錦帯橋の上から白崎八幡宮にかけて数十羽が三々五々憩う姿が見られる。
(03.12.25)

 

<スズガモ>Aythya marila ★★
Greater Scaup (SUZUGAMO)
鳴き声:あまり鳴かない。
観察のポイント:キンクロハジロの類似品。少し大きくヒドリガモに近い。特定ポイント以外では渡りの時期を中心に蓮根畑外縁水路などでごく少数を見かける程度。
  キンクロハジロの類似品で、少し大きいものの色柄は実にバッタモン臭い感じで似ている。和名、英名ともまったく脈絡のない名前になっているのが不思議なぐらい。国内で多数が越冬するそうで、岩国にも多い時には100羽以上が見られるポイントがあるが、それ以外では渡りの時期に運がよければ見つかる程度。
(04.10.20)

 

<ホシハジロ>Aythya ferina ★★
European Pochard (HOSHIHAJIRO)
鳴き声:あまり鳴かない。
観察のポイント:中型。ベースの内堀などでたまに見かける程度。

 普通のバードウォッチャーにとってはちっとも珍しくない鳥で、私もよそで何度か見ているのだが、岩国ではほとんど特定の1箇所でしか見られない珍種の部類。スズガモなどと同様、完全な止水域である程度の面積がないとだめらしい。ところが2015年秋には門前川の越冬カモ群の中に数羽が混ざり、概ね定着。今後この傾向が進むのか注目。
(04.10.24)

 

<オシドリ>Aix galericulata ★〜★★
Mandarin Duck(OSHIDORI)
鳴き声:あまり鳴かない。
観察のポイント:小瀬川下流域などで冬季観察。蓮根畑で1回のみ観察。
 蓮根畑で1回だけ観察したきりでそのことすら忘れていたが、2015年末に小瀬川流域で数羽の群れを観察。よくよく調べたらそのへんのあちこちにいて、場合によっては10数羽規模のグループが河原でのんびりくつろいだりしていた。おまけに山の中の細い渓流でもほんのちょっとした淀みがあれば降りていることがあると分かり、実はちっとも珍しい鳥ではなかった。たまたま2015〜6年冬に多いだけなのか、単に私が盆暗だっただけかよくわからないが、ともかくこんな派手な鳥を今まで見過ごしていたとすると結構恥ずかしい話だ。これだからバードウォッチングは難しい。ただし見晴らしのいいところは好きでないらしく、錦川の本流にはいない。本物のオシドリ夫婦は毎年ペアを変えるというのは有名な話。
(11.1.11)

 

<ツクシガモ>Tadorna tadorna ★★
Common Shelduck (TSUKUSHIGAMO)
*山口県絶滅危惧U類
鳴き声
:まずもって鳴かない。
観察のポイント:散発的に尾津の内外で見かける。シーズン後半の年明け以降になる傾向がある。カルガモよりでかく、派手な色なのですぐわかる。
 筑紫ガモなどというぐらいだから山口県ではよそ者扱いだが、実はユーラシアのかなり広い範囲に住んでいるらしい。なんせでかいし色は派手だし、すぐ目に留まる。たまに蓮根畑に入ってくる。2016年1月には南岩国駅のすぐ裏手の田んぼでしばらく数羽が暮らしていた。雌雄同色でちょうどこの時期あたりの雄は鼻っ柱が大きいらしいが、大抵水たまりに首を突っ込んでエサを探しているので見分けがつかない。
(04.01.26)

 

<ウミアイサ>Mergus serrator ★〜★★
Red-breasted Merganser (UMIAISA)
鳴き声:鳴かない。
観察のポイント:尾津沖などで冬季見かけることがあるが、常時でもなく不定期。2012年には初夏まで残っている個体がいた。
 カモ科に含まれているが、カモとウの相の子のような鳥。秋沙と書いてアイサだそうだが、なんのこっちゃ。今津川の河口付近、尾津沖から南の海岸一帯に広く分布。多くはないがそんなに珍しくもない。
(03.12.25)

 

<カワアイサ>Mergus merganser
Goosander (KAWAAISA)
鳴き声:鳴かない。
観察のポイント:小瀬川で1回観察。
2016年1月、小瀬川にて。この角度では少しわかりにくいが、後頭部のくせ毛がないのでカワアイサと判定。ウミアイサとほとんど同じでメスは特に区別が難しいが、英名は全く異なる。
(16.03.10)

 



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