山紫編

 

<ヒヨドリ>Hypsipetes amaurotis ★〜★★★
Brown-eared Bulbul (HIYODORI)
鳴き声:ヒィーヨ!ヒィーヨ!ピュイー!ピュイー!etc。とにかくやかましい。
観察のポイント:低山の雑木林には周年いるが、観察は難しい。秋冬は市街地で普通に見られる。とにかくやかましい。
  たぶん日本で最もやかましい鳥。年がら年中死にそうな声で「ヒィーヨ!ヒィーヨ!」とわめき散らすのに何の意義を感じているのか、さっぱりわからん。よっぽど投票日前の選挙カーに対抗意識があるのだろう。昔は山の鳥だったらしいが、そういうわけで最近は周年人家の付近にいるし、特に冬場は街中にも平気で徘徊し、ふと気づくとすぐそばの立ち木に1羽でぼんやりとまっていたりする。団体様もいて、小さな梅の木にたかっている連中の様子はかなりオーバースケールな印象。自分達が小鳥の部類だと勘違いしているぐらいならまだいいが、どちらかというとバーゲン会場にひしめくオバンみたいな風情。
 概ねニュートラルグレイべた塗りで、目の後ろに艦底色の三日月模様。これだけ日本では当たり前な鳥なのに、分布は意外と狭く、日本以南の島伝い程度。英語では「茶色い耳のブルブル」というけったいな呼び方をし、他の言語では辞書を引いても出てこない。
(03.02.25)

<ムクドリ>Sturnus cineraceus ★★〜★★★★
Gray Starling (MUKUDORI)
鳴き声:キュルキュル・・・(どもっている)たまにギャーギャーわめく。
観察のポイント:地味だが結構いつでもそこらへんにいる。秋にとんでもない大群を見ることがある。

 数はかなりいるのだが、黒っぽい容姿といいどもったような鳴き声といい、いちいちぱっとしない連中なので案外目立たない。雀と鳩の中間でサイズの指標になる鳥だが、初心者にとっては、少し大きめとはいえやかましくて目立つヒヨドリをあげておいてくれたほうがいいのでは。ただヒヨドリは1970年代に入って突然都会へ進出した種類なのだそうで、オールドファンとしてはなおムクドリの肩を持ちたいのだろう。
 サイズや体形、生活空間がツグミと非常によく似ていて、単独ならツグミのことが多く、3羽以上ならほぼ確実にムクドリといった特性はあるようだが、どうやらお互いライバル意識に目覚めているらしく、両者が一緒にいることはめったにない。
 日本のムクドリは東アジア限定種で、西欧ではホシムクドリが基本。英名Starlingスターリングといえば、泣く子も黙るジョニー・ウォーカーの乗艦。独Starシュタール、伊Stornoストルノ。仏語ではEtourneauエトゥルノー、Sansonnetサンソネの2種類で、どう使い分けるのかは不明。
(03.05.01)

  

<コムクドリ>Sturnus philippensis ★★
Violet-backed Starling (KOMUKUDORI)
鳴き声:いちおうムクドリと同様。
観察のポイント:平地の木に群れが立ち寄っていることがある。ムクドリと混群のことがあるので注意。
 こちらはコムクドリ。本家より一回り小さく、見てのとおり色柄もまったく違う。なんで同じ科なんだと思っていたが、例のどもった鳴き声と集団行動の習性が同じであった。岩国には定着せず、渡りの途中で立ち寄るだけらしい。写真は秋だが、春のほうが観察機会は多い。

  

<ホシムクドリ>Sturnus vulgaris
Starling (HOSHIMUKUDORI)
鳴き声:聞いていない。
観察のポイント:2007年1月以降数回観察。冬場ムクドリの中に1〜2羽程度混ざっていることがある。
最初は出来心で撮ったムクドリの写真の中に1羽混ざっていた。冬場のムクドリ自体が普通なのでわざわざカメラを向けることがなく、見過ごしている可能性大。写真は2014年11月、珍しくワンショットに2羽いるところ。
(2007.10.8)

 

<オオルリ>Cyanopyila cyanomelana
Blue and White Flycatcher (OORURI)
*山口県準絶滅危惧種
鳴き声:キビタキに似た声で、ゆっくり、はっきり鳴く。
観察のポイント:なかなか姿は見ないが一応いるらしい。
 コバルトブルーの背中と白い腹(英名「青白ヒタキ」)、それを引き締めるのどもとの黒。鳥そのもののデザインもさることながら、やはりオオルリといえば鳴き声。豊かな声量と爽快な声質は、文句なしの一級品。たいていは針葉樹の大木の上で鳴いており、高山の連中と違って葉っぱより内側に止まる傾向があるので、なかなか目にするのは難しい。しかし、しばらく見回して首が痛くなっても、「まあいいや、これだけきれいな声が聞けただけでも」とつい思ってしまうだけの説得力がある。希に低いところに止まっており、数年に1回ぐらい観察機会があるが撮影は難しい。
  一般的なヒタキは生態にちなんでフライキャッチャーと呼ばれる。ヒタキというのは鳥好き以外にはあまりなじみのない名前だが、実は最近まで十把一絡げ的一大勢力をなしており、ツグミやヨシキリ、はてはウグイスまでヒタキ科に属していた。最近細分するようになったそうだが、ジョウビタキやルリビタキ、ノビタキのように、同じヒタキと名前をつけておいてツグミ科にわけるというのは、いかにも学者の都合優先で、シロウトとしてはまことに納得しがたい。
(03.06.02)

 

<キビタキ>Ficedula narcissina
Narcissus Flycatcher (KIBITAKI)
鳴き声:2003年:クレクレ、オッコノミヤキーオッコノミヤキー
      2004年:クレクレ、テッチリナベーテッチリナベー
      2005年:クレクレ、ズッキーニリゾット、ズッキーニリゾット
     2006・2007年:クリ、クブクリンクブクリン
他にヒヨヒヨなどと鳴く。
観察のポイント:城山近辺で観察しやすそうな縄張りを持つオスを探す。

 声の美しさではオオルリにも劣らない。それに黒とオレンジイエローを基調とする小気味よい色合いもあってすこぶる人気の高い鳥。お城山にもかなりの数がいるのは間違いないのだが、たいてい飛びぬけて背の高いヒノキの先端付近ばかり選んでとまっているので、せいぜいちらりとシルエットが見えればいいぐらい。オオルリ同様、東アジア限定種。英名は水仙ヒタキ。
(03.08.01)

 

<ノビタキ>Saxicola torquata
Stonechat (NOBITAKI)
鳴き声:ほとんど鳴かない。
観察のポイント:川沿いか蓮根畑。春は少なく、10月前半が最適。スズメより細め。3羽程度のルーズな群れが多い。

 野ヒタキ。日本では北半分で繁殖する夏鳥で、岩国では春秋の渡りの時期に三々五々見かける。夏場のオスは真っ黒い顔と背中などといった、なかなかパンチのきいた模様で上品にさえずる人気者らしいが、メスと冬羽はご覧のとおり「モズの真似したスズメ」みたいな感じ。鳴き声もほとんど聞かないので、うっかりすると見落としてしまいかねないが、意外と腰の赤味が目立つし、よく見ると黒のハイソックスがオシャレ。
 英名はStonechatストーンチャット。石をたたくような声でおしゃべりするといった意味か。和名の「火焚き(火打石)」と相通じる。
(03.10.16)

 写真は秋の蓮根畑にて。アトリなどのように大群を組んで旅するわけではなく、1羽から数羽程度の小群で地味に渡っていくらしい。彼らが去っていくと、まもなく後を追うようにジョウビタキがやってくる。ただしここ数年は渡りの時期が遅れ気味で、ジョウビタキに追い付かれる傾向あり。

 

<ジョウビタキ>Phoenicurus auroreus
Daurian Redstart(JOUBITAKI)
鳴き声:渡来当初、ヒッ、ヒッ、とよく通る声で縄張り宣言。以後はほとんど鳴かない。
観察のポイント:平地に単独でまんべんなく分布。人馴れしていて初心者にオススメ。

 尉ヒタキ。オスはライトグレイの帽子にかなり明るい茶色と白黒がきれいに塗り分けられた、とても覚えやすい柄(メスは地味だが、尻尾だけは同じ茶色)。ペットショップの軒先にいてもおかしくないほどの明快な色合いなので、街中でそうそう見かけるような鳥ではなかろうという先入観を持ってしまいがちなのだが、冬場になると意外にあちこちで見かける。なわばりを持っているので必ず単独だが、場所を問わずまんべんなく分布しているようだ。ひそかに岩国の市街地を占拠しようと目論んでいる可能性がある、油断のならない鳥である。
 本種も東アジア限定だが、西洋にも似たようなのがいるらしく、英Redstartレッドスタート、伊Codirossoコディロッソが見出しで出ていた。こんなマイナーそうな名前でも、英艦艇のリストをあたればちゃんと出てくるからたいしたものだ。
(03.02.25)

 とにかく人を怖がらないことにかけてはカラ類をも凌ぐのではないかという鳥。他人に場所を取られては大変と思うのか、渡りをするときは近郷一帯いっせいに動くらしく、春は潮が引くかの如くいなくなり、秋は岩国で見かけたその日にNHK広島でも渡来を伝えていた。2003年は渡去が4月10日頃、到来が10月20日。普段が普段だけに、日付の特定が簡単。毎年ほとんど同じで、1週間もずれない。やってくると何はさておき縄張り宣言。セッカの声にフォルテをかけたような、フィッ、フィッという鳴き声があちこちで聞かれ、市内は俄然にぎやかになる。

 

<ルリビタキ>Erithacus cyanurus
Red-flanked Bluetail (RURIBITAKI)
鳴き声:ほとんどジョウビタキと同じ声。渡来が遅いが、やはり縄張りが落ち着くと鳴かなくなる。
観察のポイント:ジョウビタキと同じく単独行動で低山帯に集中。2004−5年の冬はきわめて数が多く、人馴れして初心者でも容易に観察できたはずだが、数は年較差が大きい。

 瑠璃ヒタキ。ジョウビタキの青バージョン山中編みたいな鳥で、ジョウよりやや遅れて渡来し、山の中で似たような「ヒッ、ヒッ」という声を出している。メスの上半身が地味な茶褐色で、腰から下にオスのカラーリング(つまり本種の場合は青)が出ている点もよく似ている。ただし、本種の場合は若いオスもメスと同じ色なのだとか。オス成羽は図鑑などの写真を見るとたいていコバルトブルーだが、実物を日なたで見ると、ずっと明るい水色にきらめいて感激ひとしお。
(04.01.26)

 

<エゾビタキ>Muscicapa griseisticta
Grey-spotted Flycatcher (EZOBITAKI)
鳴き声:鳴かない。
観察のポイント:山頂から平地までランダムに登場。灰色の鳥がパッと飛んではすぐ枝に戻る。
 蝦夷ヒタキ、といっても日本ではまったく繁殖しない旅鳥で、生態の上で北海道と何の関係もないというヘンな命名。写真ではグレースケールの地味〜な色合いだが、実際に見ると腹の白がけっこう目立つ。
 エゾ、サメ、コサメのヒタキ灰色トリオというのがあるが、本種は最初に到来。9月上旬の城山頂上広場で、パッと飛び上がっては8の字描いてまた枝に戻る典型的なハエとりダンスをしていた。他のヒタキ類では案外見ない光景なので感心していたが、なんとこの鳥、その後1ヶ月以上もここに居座っていた。付近にも2,3羽いたようだ。エゾビタキが一番観察機会が多いのは、このような一時的定住性のためかもしれない。
(04.09.08)

 

<サメビタキ>Muscicapa sibirica
Sooty Flycatcher (SAMEBITAKI)
鳴き声:鳴かない。
観察のポイント:山頂でのみ観測。エゾビタキより黒っぽい。
 鮫ヒタキ。この黒っぽい色を「煤けたヒタキ」とした英名も悪くないが、サメの柄に例えた和名の飛躍ぶりというか苦し紛れというか、しかしこの小鳥にして妙にフィットした名前では。10月中旬、これも岩国城にて。灰色トリオでは最後に到来したのだが、私が午前中の小一時間付近をウロウロしているあいだ、ずっと同じ場所でハエとりダンスをやっていて、しかもしばらくここにいるエゾビタキよりも地面近くを飛び回っており、一番くみしやすい印象だった。ちょっと眉毛を持ち上げて見せる余裕シャクシャク感がいい奴だ。
 サメビタキ、コサメビタキは全国的には夏鳥として扱われるが、岩国では繁殖していないと思う。
(04.10.20)

 

<コサメビタキ>Muscicapa dauurica
Brown Flycatcher (KOSAMEBITAKI)
鳴き声:鳴かない。
観察のポイント:山頂でのみ観測。エゾビタキより白っぽい。
 小鮫ヒタキ、といってもサメビタキと見た目の印象はほとんど同じサイズ。英名茶色ヒタキ、といっても色はミディアムシーグレイであまり茶色っぽくない。かなり苦しい。
 灰色トリオでは2番目、9月下旬に観察。発見場所、生態ともエゾビタキとまったく同じで、心持ち小さい。エゾビタキが日中でもよく見かけるのに対し、こちらは今のところ朝方しか観測していない。どちらもモノクロで声も出さないところが、いかにもこの先の深まり行く秋を思わせる独特の印象だ。
(04.09.30)

 

<ウグイス>Cettia diphone
Japanese Bush Warbler (UGUISU)
鳴き声:ホーホケキョ。年や場所によって微妙に違う。普段は強くチャッチャッと鳴く。
観察のポイント:鳴きまねにだまされて草むらから出てくるやつもいる。鳴かないと単なる地味な鳥だが、実は年中いる。

 都会の人にとっては夢また夢の鳥かもしれないが、岩国では少しも珍しくない。春先の陽気をきっかけにして鳴き始めるが、最初は下手で、だんだんうまくなるのがよくわかるところが面白い。多いところでは、手の届くようなすぐ頭上の梅の梢にとまったりする。最盛期になると、錦川の中洲にある枯れ木の上で声高にさえずっているやつもいる。そのすぐ傍が橋で、トラックが行き交う国道2号線のバイパス。歩道を通る住民も、すぐそこに鳴いているのが見えるのだが、ほとんど気にも留めないで通り過ぎていく。聞きしにまさるホーホケキョも、地元ではこの程度のものだ。
 日本人が言うところの鶯は、日本を中心とする北東アジア一帯にしかいないので、当然諸外国の言語にも適当な呼び方はない(英語では「藪でさえずる奴」という元も子もない名前)。ところがそれではお客さんが日本人として承知しないのか、ウグイスで辞書をひくと何がしかの単語が書いてある場合が多く、ほとんどの場合はナイチンゲール(サヨナキドリ、夜鶯)のことをそのまま当てはめている。ロシア語ではкороткохвостая камышевка、カラトコフヴォースタヤ・カムウィーシェフカ。「尻尾の短いヨシキリ」という意味らしい。外国の人々に日本情緒を理解してもらう道は、至って険しいと見た。
(03.02.25)

 ウグイス色というと作りたての畳表やよもぎ大福みたいな比較的鮮やかな色を思い浮かべるかもしれないが、実際はドイツ国防軍の軍服を着古したようなくすんだフィールドグレイ。大抵はこのように、笹薮のそばの少し高い木立でさえずるようだ。自分の居場所に自信があれば、かなり人が寄っても逃げ隠れせずにさえずり続ける。安物のプレイヤーでは音が割れるぐらいの見事な声量。なぜ彼らの鳴き声にはエコーがかかるのだろう?
 右は今まさに「ホー」を発音しようとしている瞬間。のどを膨らませた姿は、鳥というよりなんだかネズミかモグラみたい。典型的な春の風物詩的イメージの鳥だが、実は真夏のクソ暑いときでもホーホケキョとやっている。「法〜法華経」と聞こえれば敬虔な仏教徒、「砲〜口径長」と聞こえたらベタベタの軍事マニア。
 左写真の愛宕橋近辺は時折伐採をやっており、この木も2006年にいったんなくなったが、数年かけてまた生えた。しかし2006年秋の台風で堤防が決壊して岩国の川西一帯が浸水する事件があった後、護岸工事と称して錦帯橋上流の笹薮が大規模に伐採。ウグイスは大繁殖地を失って以後激減してしまった。右写真の笹薮もすでにない。市内ではこの種の環境破壊が少なくない。

  

<ヤブサメ>Cettia squameiceps
Short-tailed Bush Warbler (YABUSAME)
鳴き声:ゆっくり尻上がりに、シ、シ、シ、シ、シ、シ。
観察のポイント:姿を見るのはきわめて困難。定住しない可能性大。
 いちおう入れてはみたけれど、この写真は見てのとおり確証にするのもどうかという1枚。名前の由来である、鈴のかすれるような「シリリリ」という声が盛んにするほうをひとしきり探して見つけた鳥影で、ヤマガラのような短い尻尾が特徴に合致するといった程度。メジロに見えなくもない。急斜面の場所なので、こう見えても鳥は地上1m程度の高さにいる。
 何羽かいたようだが、鳴き声は6月の比較的短期間のみ観測。
(04.06.)

 

<メボソムシクイ>Phylloscopus borealis
Arctic Warbler (MEBOSOMUSHIKUI)
鳴き声:一本調子でショリショリショリショリと鳴く。
観察のポイント:2011年春の1回のみ観察。姿は見えなくても鳴き声は間違いようがない。

 一応声はおさえてあるけれど姿は確認できず。富士山で毎年会う種類なので同定は簡単。もちろん単なる立ち寄りついでに鳴いただけでしょう。
(11.04)

 

<オオヨシキリ>Acrocephalus orientalis
Oriental Great Reed Warbler (OOYOSHIKIRI)
*山口県準絶滅危惧種
鳴き声:ギョギョシ、ギョギョシ、ケケシケケシ(ダミ声)
観察のポイント:錦川のアシ原と蓮根畑。意外と人見知りするので注意。梅雨明け頃から鳴かなくなるが、突然秋に見かけたりする。

 夏の葦原には欠かせない鳥。ギョギョシーギョギョシーギョギョシー、ゲシゲシゲシという特徴的なさえずりは、テレビで夏場の河原の画面が出たら判で押したように流れてくるので、知らない人はあまりいないのでは。岩国でも4月下旬から各地で鳴き始める。くちばしが大きめなのが特徴。本来は葦の穂につかまって鳴くのが正統だが、中には電線で鳴く偏屈者もいる。典型的な夏の風物詩的イメージの鳥だが、実は梅雨明け頃からはほとんど鳴かなくなる。
 ユーラシアの普通種で、仏語はずばり葦のウグイス類(Fauvette des roseauxフォヴェット・デ・ロゾ)。英Reed warbler、独Schilfsaengerシルフゼンガーはともに葦で鳴く鳥の意味。伊Cannaiolaカンナイオーラ、露камышевкаカムウィーシェフカも葦の派生語(「東のツグミヨシキリ」という意味の単語も出る)。要するにウグイスよりメジャーである。サイズはやや大きめ。カッコウによく託卵されるそうだが、岩国にカッコウはいないのでまずは安心。
(03.05.01)
 

 

<セッカ>Cisticola juncidis
Fan-tailed Warbler (SEKKA)
鳴き声:ヒッヒッヒッ・・・チャッチャッ、チャッチャッ・・・(比較的早口で一本調子)
観察のポイント:夏場の米軍基地で敷地外に出てくるのを気長に待つ。

 こちらはスズメより小さい鳥。ヒッヒッヒッ・・・という一本調子な鳴き声で、オッサンが乗るスーパーカブのウインカーを改造して点滅速度を2倍にしたときの警告音と覚えておけば、まず間違いない。草ぼうぼうの河原にはさほど珍しくない鳥らしいが、岩国のセッカはなぜかかたくなに米軍基地から出ようとしない。寄らば米軍の陰を地で行っているのなら、まさしく日本的な鳥といえるのかも知れぬ。それより、なんで雪加という和名なんだ?
(03.09.17)
この鳥に関しては、もともと小さい上に地理的制約もあって、アップは難しい。左写真は珍しく尾津側に出てきたところを見つけて撮影。ピンク色の脚をそれぞれ別の葦の茎にかけたアラレのないポーズがセッカの得意技だが、岩国でこれを見る機会はまずないだろう・・・と思っていたが、電線でも内股どまりになるのね。愛宕橋近辺の伐採を行った後、1〜2年して他の鳥がいなくなった荒れ地に草が生えてくると、基地のセッカがわが意を得たりと進出した。しかし2年ほどでさらに草が茂ると、ウグイスやオオヨシキリが戻ってきてセッカは再び基地に押し込まれてしまったのであった。

 

<キクイタダキ>Regulus regulus ★★
Goldcrest (KUKUITADAKI)
鳴き声:チッ・・・チッ・・・(きわめてか細い)。
観察のポイント:遭遇を期待しつつ山道を歩き回る。たいてい杉か松の木立の中にいる。声の感じより近くにいることがあるので注意。2005〜6年のシーズンは多数渡来の影響か、朝方にはふもとの公園まで進出。

 ユーラシアに広く分布する小鳥で、英名「金の冠」をこれでもかとばかりにジャポニズム化したような和名。岩国には金冠黒松という銘酒があるが、その名のとおり(?)本種も松林などを好む。冬場、あまり人の入らない山林の尾根筋などを歩いていると、どこからともなく金具のこすれるようなか細い「チッ、チッ」という声が聞こえる。このクソ寒いときに虫かと思っていたら本種だった。2003〜4年冬はそこそこいたようだが、次の冬はほとんど見ず。しかし2005年冬は一転して大発生。2010〜11年冬は少ない。 本邦最小の鳥で声はすれども発見困難、しかも落ち着きがないので、見つけても撮影困難。といっても特に人怖じする気はないらしく、厳冬期には民家の植え込みに来ることもある。
(04.02.25)

 

<エゾセンニュウ>Locustella fasciolata
Gray's Glasshopper Warbler (EZOSENNYUU)
鳴き声:鳴かない。
観察のポイント:単なる偶然。
 9月下旬、卸売市場の裏手にて。曇りの日で茂み越しとはいえ、わずか2mそこそこのすぐそばで撮ってなお種別が明確に判定できないのがウグイス類のつらいところ。やや大きくボテッとした印象だったことと、褐色味が強い(写真はやや赤っぽくなってしまっている)ことからエゾセンニュウにしてみたが、違うといわれればそうですかと言わざるを得ず。たぶん二度とこいつと会うことはないだろうな。英名は「グレイさんのバッタヨシキリ」。
(04.09.25)

 

<ソウシチョウ>Leiothrix Lutea ★★
Red-billed Leiothrix(SOUSICHO)
*特定外来生物
鳴き声
:メジロとキクイタダキの中間のような感じか。
観察のポイント:山林で冬場小群を観察。
 見てくれの派手さから察しがつく通り、中国から観賞用として盛んに輸入されていたのが所謂かご抜けで定着したもので、2005年に特定外来生物法が施行されたとき最初に登録された鳥類4種のひとつ。もちろん人間様に悪さをするわけではなく、どちらかというと平気で近寄ってくる部類に入るが、ウグイスなどの生息域を荒らす恐れありとのこと。個人的にはちょくちょく縁のある鳥で、初めて富士山に行ったとき西臼塚で見たほか、城山でも遭遇、2016年3月には銭壺山で久々に観察した。してみると相当数がいるのでは。見つけたからといって追い払ったり捕まえたりするわけにもいかないし、困ったことではある。
(16.3.10)

 

<ホオジロ>Emberiza cioides ★〜★★
Siberian Meadow Bunting (HOOJIRO)
鳴き声:パターンは多様だが、ワンフレーズが2〜3秒の明朗快活なさえずりを繰り返す。普段はチチッと鳴く。
観察のポイント:主に山林とその周辺。オスは春から初夏にかけて比較的見通しのいいところでさえずっている。冬季は小群を組むので比較的観察しやすいが、実際はほとんど年中いる。

 スズメの頭に白黒のストライプを入れたような小鳥。とにかく「一筆啓上仕り候」のさえずりで名を成す、さえずりのプロとして知られるが、実際のところは鳴き方のパターンがきわめて多いので、聞きなしを覚えておくのはまったくといっていいほど無意味。一般に早口といわれるが、これもあてにならぬ。むしろ一声一声を丁寧に発音することで、いろいろな聞きなしを可能にしているのではないかと思った次第。
(03.05.01)
 河口付近の電線で鳴いていることもあるが、原則的には山麓の林が開けたあたりで最も見る機会の多い鳥。枝垂桜にホオジロとはいい絵ではござらぬか。英名はBuntingバンティング。さえずりの立派さは小鳥の中でもトップレベルなくせに、2番バッターなのだ。
 やはり東アジアの鳥だが、より分布域での定着性が高いらしく、岩国でも年中ちらほら見かける。普段はアオジの声を連発したようなチチチッという声でうろついている。顔と同じ白黒のストライプが尻尾にもあり、田舎道を自動車で走っていると、よく足元からこの鳥が飛び出すのが簡単に識別できる。英軍機の尾翼国籍マークをフィンフラッシュと呼ぶが、これをもって本来は鳥類用語であることを体感できるわけだ。
 右のすすけたようなさえない顔、ボテッとした腹。どうやらこれが幼鳥らしい。図鑑でもそうそう見ることのない貴重映像?だが、山道を登りきったら真正面にちょこんと居座っていたので撮っただけ。カメラアングルが低いのはそのためだ。

 

<アオジ>Emberiza spodocephala ★〜★★
Black-faced Bunting (AOJI)
鳴き声:チッ(必ず単発)。春先にすがすがしいさえずりを始めることもある。
観察のポイント:山中でも見るが錦川流域が最も観察容易。なかなか下草から出ようとしないが、数が多いのでシャッターチャンスはある。桜の散り始め頃がもっとも姿を見かけやすい。
 学名からしてホオジロとは極めて近縁らしい。晴れているときは胸元の黄緑色が鮮やかだが、曇るとさっぱりさえない色調。ふと気づいたら、冬場の錦川の下草には彼らがウジャウジャといるのだった。「チッ」というか細い金属性の地鳴きで、必ず一声づつ発する。バラで聞くと、冬枯れの風景もあってなんとも寂寥感のある風情なのだが、何羽もの鳥があちこちで「チッ」「チッ」とやっているので、もはや分身の術を駆使するサスケ状態である。ちなみに、殴られたときにできる内出血のアザもアオジという。写真左の顔が黒いのがオス。やっぱり殴られたのか?
(03.02.25)
 寒いうちはとにかく人怖じして、間に木の枝がないと落ち着かない様子だったが、桜が散り始めるころから急に大胆になって、スズメやシジュウカラ並にチョロチョロするようになる。4月も末になると、さえずり出すやつもいる。今まで時限爆弾のタイマーみたいな愛想のない鳴き方ばかりだったのに、この声ときたら適度におさえの利いた気持ちのよい声だ。やや暑いぐらいの昼下がりが、そのときばかりは高原のようなさわやかな雰囲気に包まれる。最後の最後でちょっとだけ本領発揮というわけだ。なお、両方の写真の桜の木も2015年に道路整備の名目で伐採されてしまった。

 

<クロジ>Emberiza variabilis ★★
Japanese Grey Bunting (KUROJI)
*山口県準絶滅危惧種
鳴き声:チッ、チッ(他のホオジロ類と同様)
観察のポイント:城山周辺で小群との遭遇を期待。状況によっては足元まで近寄ってくる。
これもホオジロの兄弟分で、日本とカムチャツカにしかいない種類。2004年1月に1度観察したあとはまったく姿を見なかったが、2005年1月には突如人通りのすぐそばをウロウロしているところに遭遇。春先まで数度観察した。暗いところが好きな上にオスは煤けたダークグレイなので、被写体としてはあまりよろしくない。
(04.01.26)

 

<ミヤマホオジロ>Emberiza elegans ★★
Yellow-throated Bunting (MIYAMAHOOJIRO)
鳴き声:やはりチッ、チッと鳴く。声ではほとんど判別不能。
観察のポイント:やはり城山近辺で小群を探す。かなり第一印象が強烈。

 なかなかエレガントな学名をもらっている。和名は深山ホオジロながら実態は西日本ホオジロという触れ込み。小群を組んで行動する点はホオジロ的で、滅多にホオジロが立ち入らない吉香公園内の植え込みにも入り込む。木立や藪の中から出てきてくれさえすれば、黒とレモンイエローの塗りわけが鮮やかな顔つきですぐわかる。ホオジロのマスクマンというか、悪趣味な親に無理やりおめかしさせられたガキというか、とにかく首から上が妙に浮いている柄。冬のお城山に熱帯魚みたいな風貌でチョコマカしている、プリティな客人たち。
(04.01.26)

 

<カシラダカ>Emberiza rustica
Rustic Bunting (KASHIRADAKA)
鳴き声:同じくチッ、チッと鳴く。
観察のポイント:ホオジロと一緒にいることがある。渡りの時期は平地で見かけることも。
 写真は2005年2月撮影。ホオジロの色違い程度のものなので普段見落としている危険性大。
(03.11.25)

 

<ホオアカ>Emberiza fucata
Grey-headed Bunting (HOOAKA)
鳴き声:よう知らん。
観察のポイント:蓮根畑でごくたまに遭遇。
 きらら浜へ行くとウジャウジャいるが、岩国では希少種。2005年2月と2006年3月に各1回観察。まともな写真はこのピンボケ1枚ぐらいしかない。
(06.01.14)

  

<コホオアカ>Emberiza pusilla
Little Bunting (KOHOOAKA)
鳴き声:聞かなかった。
観察のポイント:希少種だが何食わぬ顔でいる。
2012年春の1回だけ観察。近所の駐車場で普通にエサをあさっていた。撮っているうちはずっとホオアカだと思っていた。
(12.10)

 

<オオジュリン>Emberiza schoeniclus ★★
Reed Bunting (OOJYURIN)
鳴き声:チュイー(尻上がり)
観察のポイント:たまに蓮根畑の沖の葦原にいる。

 英名のとおりもっぱら葦原で観測する。ユーラシアの普通種で、南岩国の卸売市場の裏でも冬場遭遇することがあるが、面積が物足りないらしく時折回ってくる程度。どういうわけか細長い独特のシルエットをしているので、その気になれば割合簡単に判別できる。もともと鳴き声そのままの和名らしいが、当て字で大寿林と書く由。小寿林、大寿山、大麒麟などは未確認。
 撮影した3月上旬はちょうど換羽の時期で、ホオジロに似た茶色いものから頭が真っ黒のほぼ完全なオス夏バージョンまでいたようだが、このように中途半端なものが一番多かった。葦の穂をチョコマカしながらあちこちつつき回している。
(04.03.12)

 

<シジュウカラ>Parus major ★〜★★
Great Tit (SHIJUUKARA)
鳴き声:ツッピーツッピーと連呼するさえすりが一般的。普段はピチュイ、ゲシシシなどいろいろ。
観察のポイント:カラ類では最も市街地中心部まで進出する。繁殖期以外は小群を組んで声を出し合いながら移動し、模様もはっきりしているので観察容易。春先にはテレビアンテナや電信柱の先などでよくさえずっているが、結局繁殖は林縁以内でするらしい。初夏に巣立ちが終ると突然さえずりだしたりする。
 閑古鳥ではない。概ねスズメの隣人のような鳥で、ほぼ同じようなサイズの小鳥だが、冬でも白のカッターシャツ1枚で黒いネクタイをぴちっと締め、髪形もきれいに整えたサラリーマン調。端正な口調でツッピーツッピーとさえずる声は街中でもよく聞こえているが、そういう時は大抵高いところにいる。食事のときはけっこう下まで降りてきて、寒い日など生垣の中にもぐりこんだりもするが、地面には脚をつけたがらないらしい。左のネクタイがはっきり見えるのがオス。メスはもっと細く、子供はさらに細くて途中で途切れている。さえずりのパターンはけっこう多彩で、ツッピーツッピーにもトーンやスピードが何通りかあるし、ピンチョチョなどもある。たまにヨシキリのようなゲシゲシという声を混ぜることもある。
 鳥の勉強を始めると、カラの混群という文句を早いうちから常識として覚えることになるが、岩国でもそのような生態が見られることがある。私が見た限りでは、シジュウカラをベースに、エナガやヤマガラ、メジロ、ホオジロが混じって10羽前後のグループを組むようだ。何だかグチグチとダベりながらひとつのグループが木から木へと渡り歩いていく様子を眺めていると、とても違う種類の寄り合い所帯であるとは感じさせないから不思議だ。ただし観察場所の傾向変化によるのか、近年ほとんどこのような混群は見かけない。
 シジュウカラとくればゴジュウカラも怖いが(それは五十肩)、なぜ分類上まったく違う鳥に一続きの名前が付いているのか、興味深いところ。そもそも、なんで四十雀なのだろう。ユーラシアに広く分布。英Titmouseティットマウス(略してTitティットともいう)、露синицаシニーツァ、伊Cinciallegraチンチアレグラ、仏Mesangeメサンジュ。
(03.02.25)
 

  

<ヤマガラ>Parus varius ★〜★★
Varied Tit (YAMAGARA)
鳴き声:ニィーニィーという声が特徴的だが、いろいろな鳴き方をする。
観察のポイント:名前の通りもっぱら山にいて、市街地には出てこない。単独で声もなくうろうろしている者が結構いるので、まわりをよく見渡してみる。
 山に行けば大抵、特徴的なニィーニィーという鳴き声が聞こえるが、比較的薄暗い山林の中であることが多いので、案外姿を確かめるのは難しい。ある時はジャージャーとわめきちらして木立の向こうへ飛び去っていくので、人嫌いかと思っていたら、今度はすぐそばまで飛んできて、こっちにお構いなくえさ探しをしたりする。かなり気まぐれな連中だ。なかなか賢いらしく、昔はつかまえておみくじ引きの芸を仕込んだらしいが、さすがに私は見たことがない。さほど季節は問わないが、やはり冬場のほうが開けたところに出てきやすいので観察向き。左写真はカマキリの卵をつついているところ。独特の顔の模様がチャーミング。よく見ると、けっこう目が大きくてクリクリしている。右は初夏撮影。巣立ち直後の幼鳥?オレンジ色がまったくない。
(03.09.23)

  

<エナガ>Aegithalos caudatus ★★
Long-tailed Tit (ENAGA)
鳴き声:はっきりしたさえずりがなく、いつもチキキキ、ツィーなど、何がしかぐずぐずいいながらうろついている感じ。
観察のポイント:ほぼ常に山中を小群で放浪している。初夏から梅雨の前あたりでは幼鳥を含み、厳冬期は林縁から数百mぐらいまでの人間活動域に入ってくるが、遠出はしない。

 きわめてシジュウカラと似た生態の鳥で、英名も尾長カラだが、分類上は独立したエナガ科。尻尾が長いのが特徴で、それだけならオナガでもよさそうなものだが、木に止まるとモコモコした羽毛に包まれた丸っこい胴体から尻尾だけ突き出しているように見え、いわゆる「綿菓子に柄がついたような」状態になるから、この柄長という命名はなかなかどうしてナイス。鳴き声は特に「チキチキューン」という、ビームマシンガンみたいなパターンが特徴的。そのほかチュンとかツィーとか鳴くし、よく観察するとごく小さくボソボソとつぶやいていることもあるが、なぜかさえずりがない。単独でいることはまずなく、シジュウカラなどと混群を組むこともある。ユーラシアの普通種。
(03.06.02)

 頭の先から尻尾の先までがスズメと同じぐらいの小さい鳥。独特のスタイルで野鳥ファンに絶大な人気を誇るが、もうひとつポイントを挙げるとすれば、やはり人間様をまったくといっていいほど警戒しない性格だろう。いかにも興味津々で偵察に来ましたといったかんじのヒガラとちがい、わざわざ手が届くほどのところまでゾロゾロ飛んで来て、ご覧のとおりのリラックスぶりを見せつけるのだから、呆れた度胸だ。羽毛のフワフワ感が魅力のはずだが、あまり近くから写すとかえってボロ雑巾みたくボサボサに見えてしまう。「フンドシとアテは向こうから外れる」というが、「ヤジとエナガは向こうから飛んでくる」のである。目玉の露出部分が他の鳥より多いらしく、どっちを見ているのかよくわかって妙に表情豊かだ。右写真は6月初旬撮影で、巣立ち直後の幼鳥だろう、全体に色合いがぼやけている。

 

<ツリスガラ>Remiz pendulinus ★★
Penduline Tit (TSURISUGARA)
鳴き声:チュイーン。体のサイズの割りに結構大きい声。
観察のポイント:春先の蓮根畑の葦原に立ち寄ることがある。
 暖かい春先、蓮根畑の中にある葦の茂みから数羽〜十数羽ぐらいの群れがワラワラと飛び出してくる。スズメよりもかなり小さく、特徴的なチュイーンという声を出すので、判別はさほど難しくないが撮影は難しい。よほど後ろめたいことがあるのか、オスは自分で目の上を黒い棒で隠している。日本語・英語ともカラ扱いだが別科とのこと。
(06.01.14)

 

<ゴジュウカラ>Sitta europaea
Nathatch (GOJUUKARA)
*山口県準絶滅危惧種
鳴き声:聞いたことがない。
観察のポイント:2002年初頭以来観察なし。今となっては誤認の可能性も。

 五十肩ではない(しつこい)。留鳥らしいのだが、夏場に観測するのはまずもって不可能に近い。カラという名前でもって、冬場にシジュウカラなどの混群にまぎれて人里近くをうろついているところを見かけたことがあるが、コゲラと同様にちょっとサイズが近いというだけでご同道しているにすぎないらしい。木の幹を逆さで歩き回るという特技を持つが、あいにくそういう場面にはまだ行き当たっていない。

 

<メジロ>Zosteropus japonica ★〜★★
Japanese White-eye (MEJIRO)
鳴き声:さえずりはとにかく高音の早口でやみくもに延々と続けている感じ。普段はチュゥイーという声で判別。異常にヒステリックにわめくことがある。
観察のポイント:厳冬期から春先にかけて多数が市街地周辺まで出てくるので、この時期は観察容易。普段は山林にいて、声はよく聞くが姿はほとんど見ない。

 野鳥ファンにカワイイ小鳥はと尋ねたら、エナガが1位を取るかもしれない。だが、いわゆるバーダーの是非にかかわらず国民投票をしたら、たぶんメジロが大賞の最有力候補になるだろう。そのぐらいインパクトがあってわかりやすい特徴の持ち主だし、冬場なら人家の近くでも出会う確率の高い鳥という点でもポイント稼ぎに抜かりはない。サイズの割に大きな声量で奏でるさえずりのすがすがしさは、明快なカラーリングときわめてマッチする。おまけに甘いもの好きで、庭のツバキにでもとまってくれれば絵になることこの上なし。万人受けするわけだ。学名からもあるていど想像できるが、日本からタイあたりまでの東アジア限定種だから、ついでに判官びいきのひとつもしてやっていいのでは。
(03.12.25)

 概ね年中いる鳥なのだが、厳冬期以外は山にいるので時期を失うと撮影に難渋する。このように普通ならボツになるはずのシルエットに近い写真でも、なぜかメジロというだけで味わい深い名作になったような気がするが。
 2〜3月にかけては甘党の血が騒ぐのか、人里で普通に見かけるようになる。彼らの生活はあくまでエサに左右されているのであって、人間様が自分たちのことをどう見ようとお構いなしということを実感する時期でもある。

 

<ミソサザイ>Troglodytes troglodytes
Wren (MISOSAZAI)
鳴き声:チャッチャッ(小さいくせにウグイスよりでかい声)
観察のポイント:滞在中はなわばりを持っているらしいので、目星をつけて地道に観察。
 艦船ファンにはその名も著きツァウンケーニヒ(Zaunkoenig・独)だが、垣根の主という和訳からして意外に、スズメより小さい手のひらサイズの小鳥。スズメ目の中でもイワヒバリ、カヤクグリ、カワガラスとともに無所属の会を構成しているが、北半球の中緯度に広く分布し、実勢力は侮れない。岩国でも冬になると、登山道のそばの沢づたいで出会うようになる。小さい上に薄暗いところが好きで、色柄も茶色一色で地味そのものだが、そのサイズからとは思えないほど大きな声を出すので、けっこう存在感はある。
 和名は溝細(ミゾのササイな鳥)の転化などの説があるとか。イタリアではScriccioloスクリッチョーロ(小うるさいやつ)。中国では荘子という偉い人が「ショーリョー(ミソサザイ)深林に巣くうも一枝に過ぎず」といって身の程をわきまえなさいという教えにしたそうだが、もともと小さい鳥なんだから巣材も場所も知れているのである。「先生そいつはちょっとコジツケすぎやしませんか」とツッコミ入れる身の程知らずの弟子はいなかったらしい。
(03.12.31)
 鳴き始めるとけっこうしつこいので声のするほうをよくよく見透かすと、このように尻尾をピンと立てた豆粒のような小鳥がセカセカしている様子を見ることができる。もっぱら朝方に動き回ることもあって撮影は難しいものの、さほど人を嫌がる口ではないので、近寄るだけなら簡単。2006年3月には突然尾津の葦原で遭遇した。

 

<カワガラス>Cinclus pallasii
Brown Dipper(KAWAGARASU)
鳴き声:特に聞かず。
観察のポイント:いわゆる渓流の鳥だが比較的河口近くでも見ることがある。
 カワセミなどと同様、渓流の鳥の代表格という印象がある。しかし狭いニッポン、渓流からひと山越えたらもう海だったりするから何でも常識の枠にはめてはいけない。今まで山の中でそれらしい鳥を何度か見たことがあったが、V字の狭い渓谷のごちゃごちゃしたところをあっという間に飛び去っていく小さい真っ黒な鳥を撮影するのはもちろん、瞬時にカワガラスと判定することすらおぼつかない。しかし右写真の鳥は2015年秋、親切にも河口から2kmもない下流まで出てきて石の上でのんびり休憩していたのだった。一度ばれると観念したのか、その後半年もたたずして3回ぐらい観察。
 英名はなぜか茶色い柄杓。北斗七星もディッパーと呼ぶ由。
(16.03.10)

 

<カヤクグリ>Plunella rubida
Japanese Accentor(KAYAKUGURI)
鳴き声:特に聞かず。
観察のポイント:城山の麓。偶然遭遇。

 日本固有種。岩国では2011年1月初観察。高山鳥のイメージが強いが冬場は下に降りてくるようで、だいぶ前に県内他所でも見たことがあり、突然出くわしたからと言って殊更驚くほどではない。でも、驚かないのは柄が地味なのが最大の理由かも。
(11.1.11)

 

<カワラヒワ>Carduelis sinica ★〜★★
Oriental Greenfinch (KAWARAHIWA)
鳴き声:キリキリコロコロ、ハラホロヒレハレ、ビローン
観察のポイント:山林から河口付近まで年中そこらへんをうろうろしている。越冬時にかなり大きな群れを組むことがあって目に付きやすいが、初夏の子連れのほうが観察にはオススメ。

 スズメ大のオリーブ色をした小鳥。ピンク色の太短いくちばしが共通なので、まさしく手乗り文鳥の地中海バージョンといった風情。冬から春にかけてはけっこう普通に見る鳥で、街中をグループで飛び回っている生態はスズメと同じ。ただスズメほどハキハキした声ではなく、比較的小声で早口にキリキリコロコロ、ハラホロヒレハレと、これまた文鳥みたいに鳴き交わす。むしろ野性味に乏しく、こんなんでよく生き残ってるなという印象を持つ。なるほど、漢字で鶸と書くわけだ。
 分類上アトリ科に入るが、アトリという鳥があまりなじみのない種類なのでぴんと来ない。しかしダーウィンフィンチの親戚といえばたいていの人は納得行くのでは。一般的なヒワは、英Finchフィンチ、独Finkフィンク、伊Lucherinoルケリーノ、露чижチージなど。カワラヒワ自体は北東アジアのみの分布というが、実際に本場地中海にも似たような色柄のものがいるらしく、イタリア語の辞書を引くとカワラヒワでVerdoneヴェルドーネという固有名詞を引き当てることができる。
(03.04.06)

 順光のかなりよい条件下では鮮やかなイエローグリーン系の模様が映えるが、普段の印象はもっと地味なオリーブグリーンの鳥といった感じ。名前は河原ヒワらしいが、特に河原が好きといったそぶりは感じない。さりとて民家の屋根に止まる姿はほとんど見られず、瓦ヒワでは決してない。また、どうやらコンクリートやアスファルトが嫌いらしく、めったに道路に下りない。そのへんがイマイチ市民権を得られないゆえんだろう。モーターみたいなビュイーンという、同じ鳥とは思えない特徴的なさえずりを持っている。右は夏場に撮影した幼鳥で、胸の色柄などかなり違う。

 

<アトリ>Fringilla montifringilla ★〜★★★
Brambling (ATORI)
鳴き声:あまり声の印象がない。
観察のポイント:厳冬期に入ってから見かけるようになり、最も遭遇率が高いのは散り始めの川西の桜並木。2002年は数十羽単位の群れを見たが、2003年は十数羽、2005年は数羽。

 上ではあんなことを書いているが、実は岩国でも見かける鳥。こちらはオレンジと黒と白の柄で、図鑑を見ているうちはさほど目立つわけでもなし、こんなんで花鳥と呼ぶのはちと買いかぶりすぎじゃないのか?と思っていた。が、密集編隊で飛び上がる姿を見ると、3色のはっきりした塗りわけがにぎやかにちらついて、なるほどこりゃあ花吹雪だわいと舌を巻いた次第。ただ岩国で花吹雪といえるほどの群れを見たのは1回だけ。
(03.06.17)
 スポーツ刈りのオッサンみたいな角ばった頭が特徴的。アオジと同じく顔の黒いのがオス。殴られたのか?どういう基準で分かれるのか知らないが、ヒヨドリみたいに、大集団を組むものとつがい程度の小所帯のものとがいる。右写真のアトリは、こちらがフィルム交換している間もこのポーズのまま気前よく待っていてくれたので、敬意を表して掲載する。

  

<ベニマシコ>Uragus sibilicus ★★
Long-tailed Rose Finch (BENIMASHIKO)
鳴き声:高低の節をつけてピッポッと鳴く。
観察のポイント:林縁や山中の農地などで観察。春先には河川流域に現れ観察機会が増える。
 オスは上面全体が食紅のような体に悪そうな色をしていて間違う可能性はほとんどない。写真はメスで紅は口元だけだが、独特の鳴き声が指標になる。春先に愛宕橋付近で見られることがあるが、放浪癖が強いらしいので鉢合わせるのは運しだいということか。
(04.01.26)

 

<イカル>Eophona personata ★〜★★★
Japanese Grosbeak (IKARU)
鳴き声:普段キュルキュルと地味に鳴き、時折急に口笛のような美声で独特の節回しのさえずり声を出す。ヒーコーキー、オッチルー。
観察のポイント:岩国では冬鳥。城山周辺で群れが越冬する。地面近くには下りてこない。
 でかくて黄色いくちばしがチャームポイントの鳥。ムクドリより少し小さい。群れで行動することが多いらしいが、もっぱら木立の高いところにとまるので案外目に付きにくい。普段はムクドリよりさらに地味な鳴き方をするが、時折思い出したように出すさえずりは、コミカルな容姿からは意外なほどのすがすがしい口笛のような美声。ただし、「飛〜行機〜、落っちる〜」というのはちょっと不謹慎発言では(それは聞きなすほうの責任)。2016年初頭には白崎八幡宮の向かいの林に居ついていた。
(03.12.5)

 

<シメ>Coccothrautes coccothrautes ★〜★★
Hawfinch (SHIME)
鳴き声:ツィー(あまり通りはよくない)
観察のポイント:冬場、城山公園と周辺の地面でえさをあさっていることがある。
 英名はサンザシフィンチの意味だそうで、HawはHawthorn(英国の造船所ホーソン・レスリーのホーソンだ)の短縮形といえば艦船ファンにとってちょっとしたトリビア。むしろコッコスラウテス・コッコスラウテスというイカメシイ学名のほうがインパクトあり。甲冑魚か(それはコッコステウス)。
 岩国では冬場に吉香公園近辺などで見られるが、イカルの美声に押されてあまり目立たない。しかしイカルよりは低いところまで降りてくるので、「ツィー」という鳴き声の方をよく探すと、イカルを多少シックにしたような色柄の鳥を見つけることができる。2007〜8年の冬は比較的多く、朝の横山公園ではコンスタントに十数羽単位を見かけツグミといい勝負をしていた。
(04.01.26)

 

<ウソ>Pyrrhula pyrrhula
Bullfinch (USO)
鳴き声:ピッ、ないしプィッと聞こえる
観察のポイント:岩国城付近と平田で各1回観察。桜のつぼみを食う。
ユーラシアの普通種で、岩国ではいそうでいない鳥だったが、2008年2月オス2・メス1を初観察。ツバメのまねしたスズメみたいな色柄。桜のつぼみをバリバリ食うけど、まあたまにはいいじゃない。写真の鳥は亜種アカウソらしい。後に平田で数羽の群れと遭遇。
(08.02.11)

 

<ツグミ>Turdus naumanni ★〜★★
Dusky Thrush (TSUGUMI)
鳴き声:ケケッと鳴いて飛んでいく。ツィリーという他のツグミ類と似た声を出すこともあるが、蓮根畑ではあまり出さない。
観察のポイント:2003年は12月末、2004年は11月上旬と渡来時期に幅があるが、数が多いのでその後は観察しやすい。街中の公園から畑まで、平地で地面が見えているところならどこにでも出没する。大抵人を嫌うが、たまに異常に人馴れしている個体がいる。2010年は10月からいたが、逆に2011年は全くと言っていいほど姿を見ず、ようやく翌年3月になって一定数がつじつま合わせ程度に観察。

 学名がナウマンツグミであった。象と同じ命名者なのだろう。ヒヨドリと同じぐらいのサイズで、渡来当初は木の上にいるが、しばらくすると出くわすときは大抵地面でえさをあさっているという状況になり、その点あまり地面に降りないヒヨドリとは対照的。河原の畑や水を抜いた蓮田などで、両足をそろえてピンピンはねてはミミズなどをつまんで引っ張っている。ビニールの紐らしきものを勘違いしているのか、体の何倍もある長いのを四苦八苦しながらいつまでも引っ張っている間抜けもいた。
 色調に個体差があるといわれるが、たしかに色合いのはっきりしたものからくすんだものまで、彩度にかなりの幅があるような気がする。飛び去る間際にケケッと鋭く鳴く以外、あまり声は出さない。いちおう日本のツグミは東アジア限定版らしいが、よく似た数種がユーラシア亜寒帯に広く分布。英Thrushスラッシュ、独Drosselドロッセル、仏Griveグリーヴ、伊Tordoトールド、露дроздドロスト。バードウォッチングを始めるまではぜんぜん存在に気付かなかったが、意外と数は多い。昔は大陸から渡ってくるところをかすみ網で一網打尽にしてヤキトリにしていたそうな。
(03.04.06)
 右写真のツグミは随分腹の座ったやつだ。この鳥は普通なかなか近寄れず、人が来るとピンシャカはねた末にいち早く飛んでいったりするのだが、こいつは道路から1mぐらい段差のある家の庭木に、どっかと居座っている。フェンスもあるのでこちらから手出しできないのを見透かしているらしい。数日後に通りかかったら、また同じところにいて、目の前で頭をかいたりリラックスしまくっていた。

 

<シロハラ>Turdus pallidus
Pale Thrush (SHIROHARA)
鳴き声:樹上でキョッキョッと鳴く。エコーがかかっていてホトトギスとそっくり。地面から飛んでいくときなどはツィーと鳴くことが多い。運がいいと3月頃にぐぜりを聞くことができる。なかなかの美声。
観察のポイント:もっぱら雑木林の中から林縁にかけての薄暗いところにいる。落ち葉をガサガサやっている音で気づくことが多い。本種も2011〜12年のシーズンはほとんど姿を見せず。通常は冬場どこの山にもいる普通種。
 単に白い腹ならいくらでもいるのに、ただシロハラというとツグミ科のこの鳥を指す。まあ、この姿を見るとそうとしか言いようがないとは思うが。大体ツグミと同じ頃に渡来するらしいが、原則的により薄暗いところが好きで、とりわけ渡来後しばらくは山林の奥から出てこようとしない。まず彼らの存在に気づくのは、少し暖かくなってから林縁の人家の裏庭あたりでチョロチョロ一人歩きしているところに出くわしたとき。ところが、この時期にはほとんど声を出さない。冬になって、林の中でホトトギスのようなエコーのかかった声で特許特許と鳴くのがこの鳥だとようやく気づいたのは、やっと3月に入ってからだった。実は相当な歌い手らしいが、岩国ではそんな素性をひた隠しにして地味に暮らす連中である。その声なら、遠慮しないでもっと鳴いてもいいぞ。
(04.03.06)

 

<アカハラ>Turdus Chrysolaus ★〜★★
Brown Thrush (AKAHARA)
鳴き声:キョッキョッ、またはツィリー。他のツグミ類と酷似。繁殖地でのさえずりは絶品。
観察のポイント:2006年1月初観察。2月頃まで多く、その後も少数が4月まで残留。

 シロハラと似て非なる鳥。アカハラといっても厳密にはシロハラで、ちょうど米軍機のトライカラースキームで中間色のところが赤い。私が初めてこの鳥を見たのは5月の富士山で、その後地元では見なかったので高山の鳥というイメージが強かったが、2006年冬に初めて地元でも観察。なにせマミチャジナイと混群を組んでいるのには参った。
(06.04.10)

 

<マミチャジナイ>Turdus chrysolaus ★〜★★
Eye-browed Thrush (MAMICHAJINAI)
鳴き声:キョッキョッ(シロハラほどエコーはかからない)。飛び去るときはキョキョキョ・・・の連呼。
観察のポイント:2004年春は城山山麓で複数観察したが、2005年春は未発見。同年末は極端に出足が遅かった他のツグミ類に先立ち12月末渡来。4月初旬には50以上のかなり大きな群れと遭遇している。しかし2006・2007年と観察なし。逆に2012年には3〜4月の1ヶ月間相当数が市街地に定着した。

 アカハラと似て非なる鳥。色柄はそっくりだが、白い眉毛が特徴・・・といわれても、私は最初であったとき、撮影中はもちろん、この項目をアップロードする直前までアカハラだと信じて疑わなかったぞ。だいたい、白い眉毛なのに眉茶とはこれいかに。ましてジナイって何だ?
 2004年3月中旬には、シロハラと同じくお城山のふもと付近で相当数が観察。やはり暗いところが好きなうえ、あまり声を出さず、声質自体もシロハラより地味でエコーが弱いようなので、ぼんやりしていると見過ごしてしまいそう。ただ、それほど人は怖がらず、人通りの多い登山口の枝先にも平気で止まったりするので、一度存在に気づけば識別はそう難しくない。割と早めの渡り鳥とのことだが、この場所ではしばらく同じ鳥らしいのが見られ、振る舞いもツグミやシロハラとほとんど同じなので、岩国では連中と一緒に越冬していた可能性もある。
(04.03.15)

 

<クロツグミ>Turdus cardis
Japanese Grey Thrush (KUROTSUGUMI)
鳴き声:聞いていない。
観察のポイント:4月に1回観察。
2014年春に一度遭遇。富士山でさえずるのを見たことがあるが、岩国ではただの通りがかり。運動公園のすぐ近くの何でもない家の軒先にいたので慌てて撮影。腹の側を見せないとわかりづらいが、まともなのはこれ1枚だけしかなかった。
(16.03.10)

 

<マミジロ>Zootera sibirica
Siberian Ground Thrush (MAMIJIRO)
鳴き声:聞いていない。
観察のポイント:4〜5月に計2回観察。
 暗いところで露出しすぎてブレを起こしてしまった写真だが、真っ黒い胴体に真っ白なトンちゃん眉毛(←ほとんどみんな忘れているのでは)がはっきり見えている。お城山から下山する舗装道路の片隅にいたやつで、適当な距離を置いているとまったく逃げるそぶりを見せなかったが、あいにく人通りがあって観察中断を強いられたのであった。

  

<イソヒヨドリ>Monticola solitarius
Blue Rock Thrush (ISOHIYODORI)
鳴き声:普段は鳴かないが、突然飼い鳥のような美声でさえずることがある。
観察のポイント:名前の通り海岸と河口付近で見かける。どうやら繁殖個体もいるらしい。
 イソヒヨドリという種類がいるが、ちっともヒヨドリに似ていない。オスは上面青、下面赤の逆歩行者信号カラー、メスはトラツグミの明度、彩度、コントラストをマイナス補正したようなさえない色柄で、体形もツグミそのもの。イソツグミで一向に差しさわりがないと思うのだが。原則として留鳥らしく初夏でも見かけることがあるが、冬場のほうが観察機会は多い。春先には突然臥竜橋の横の桜並木で見かけることも。
(03.11.25)

 

<コゲラ>Dendrocopos kizuki
Japanese Pygmy Woodpecker (KOGERA)
鳴き声:ギィーッキッキッキッ(ギィーはキリギリスみたい)
観察のポイント:年中普通。夏場は山林で、冬場は平地の桜並木などでチョロチョロしている。鳴き声で居場所がわかりやすいし、数もかなり多いので観察容易。その割りにドラミングはあまり聞かない。

 一般的にキツツキというと、一昔前ならアメリカのアニメキャラ(変に小憎らしい笑い方をするウッドペッカー)かもしれないし、今ならよくホームセンターの日曜大工コーナーあたりでちょい役を張っているアカゲラやアオゲラあたりを連想するだろう。ところが、現在われわれ人間様と最も縁の深いキツツキは、これらとはまったく違うコゲラという種類だ。彼らは岩国市内の桜並木あたりにごく普通に出没する。これ自体キツツキらしからぬ挙動だが、そのいでたちたるや、高々スズメ並みのミニサイズに、くすんだ茶色と白の地味なトーン。ドラミングなんてほとんどしないし、したってたいした音は出ない。まずもって、普通の人に「あそこにキツツキがいますよ」と教えたって胡散臭そうな顔されるに決まっている。もちろん、コゲラには何の責任もない。
 学名のうち属名はアカゲラと共通で、そういわれれば模様のパターンそのものは似通っている。ギーッというか、ズィーッというか、要するにキリギリスそのものの鳴き声が特徴で、頼まなくても勝手に鳴いて居場所を教えてくれることが多い。ただ、気が向けばギーッキッキッキッといった感じでうんざりするほどわめき散らすこともあるし、全然鳴かないこともある。たとえ鳴かなくても、大して人を恐れるほうではないので、慣れるとすぐ見つかる。大抵1羽、たまに2羽で行動し、カラ類と混群を作ることもある。
 キツツキ科といいながら、「キツツキ」という和名の鳥はいないから不思議。英Woodpecker、独Spechtシュペヒト、伊picchioピッキオ、露дятелヂャーチェル(ディャーティェル。最も日本語で表記しにくい部類のつづり)。仏picピックは「ツルハシ」。
(03.06.17)

 観察者のイメージとしては、「木の幹にへばりつくこともできるスズメ」。たまに向こうからすぐそばに寄って来てくれたりするのは大いに歓迎だが、とにかくチョコマカせわしない。せっかくのシャッターチャンスと懸命にファインダーとにらめっこしている前で、枝の裏側に回りこむは葉っぱの陰に突っ込むは、思い出したようにはるか先の枝に飛び移るは、まるでじっとしていない。ピントが合っても逆光でシルエット写真が完成しているなど日常時。
 このアップは、冬場桜の木でイラガの繭をつついているところを1m以下から近接写撃。これはほぼ人の目線の高さだが、木の根元をほじくっていることもある。普通の野鳥ファンは、大森林を見上げながら高倍率のレンズでアカゲラなどを撮っているのだろうが、こちとらは何から何までセコい撮影。

 

<アオゲラ>Picus awokera
Japanese Green Woodpecker (AOGERA)
鳴き声:ピョー(口笛みたい。かなりよく通る)またはケケッ(ツグミみたい)。ドラミングは圧巻。
観察のポイント:城山に定住していて年中よく声を聞くが、姿はなかなか見ない。葉の少ない厳冬期に頭上注意。ごくたまに横山公園の樹上でぼんやりしていることがある。
 日本固有種。鳴き声は2通りあり、ツグミに似た小さいケッというのと、口笛のような大きいピョーというもの。あまりにかけ離れているので、たまに聞こえる後者らしき声がこの鳥と知ったのは、だいぶ後の話であった。岩国近辺では割合普通にいて声はよく聞くが、姿はなかなかお目にかかれない。春先にプロのドラミングというものを初めてナマで聞かせていただいたが、思わずオーと唸ってしまう見事な音だった。
(04.03.15)

 

<ホトトギス>Cuculus poliocephalus
Little Cuckoo (HOTOTOGISU)
鳴き声:特許許可局(ウグイスに節回しを似せて、最後のクを省略することが多い)
観察のポイント:5月中旬に渡来し、なぜか必ず夜中に市街地で鳴く。その後梅雨入り頃まで山林と河川中流域付近で鳴いている。後者のほうが姿を見るチャンス大。
 日本に来るホトトギス科は主に4種で、どれも姿かたちは似ているが鳴き声が個性派揃いということで、全部鳴き声由来の名前をつけている(かなりコジツケ臭いが、ホトトギスも聞きなし)。ホトトギスは日本では最も人里近くにいる種類といえるだろうが、これはどうも、メインの託卵相手が笹薮に住むウグイスだかららしい。となれば必然的に、西洋ではなじみがない鳥ということ。世界的にメジャーなのはやはりカッコウで、どこの国でも鳴き声を名前にしているし、学名まで右に倣えというのも珍しい。英語で日本の4種を呼ぶときは、ぜんぶ何とかカッコウで片付けられる。ホトトギスも、一回り小さいからリトルカッコウ。またしても日本情緒を云々とグチりたくもなるが、たぶん外人さんにはこう反論されるだろう。「なんでカッコウ科にしないんだ」(注:最近は誘惑に負けてカッコウ科にしている本が多い。罰としてウグイス科をヨシキリ科と書くように)平安朝の昔から特許許可局の必要性を訴え続けていたのだから、随分と先見の明がある鳥といってよかろう。もう少し敬ってもいい。
(03.02.25)
 6月初旬、錦帯橋付近の河原で撮影。まずもって聞き間違えることのない鳴き声だから、昔から岩国に来ていることだけは断言できるのだが、なかなか見る機会がなかった。このときは日没前の河原で開けたところにいたからようやく発見したが、翌日には白昼堂々川の上を鳴きながら飛んでいるのを観察。えてしてそういうもの。
 「目に青葉、山ホトトギス初鰹」
 確かに、細長いシルエットがカツオブシを連想させる(?)。
 岩国では大体5月中旬に渡来し、ご丁寧に岩国駅付近でも夜中あいさつ回りをする(?)。2012年はなぜか1カ月遅れだった。

 

<カケス>Garrulus glandarius
Jay (KAKESU)
鳴き声:ジェーイ(英名そのまま)。鳴きまねは絶品。トンビとアオサギとヒドリガモの真似を聞いた。
観察のポイント:2004〜5年冬の城山は比較的観察容易だった。常時鳴いているわけではないが、人通りのすぐ上でガサガサやっていることもあるので存在には気づきやすい。
 2004年は台風が景気よくジャンジャン日本を通過したせいで、お山のどんぐりがみんな落ちて日本中の山のふもとでクマ騒動が頻発しているが、やはりどんぐりの虫であるカケスたちもたまったもんじゃないだろう。去年まではほとんど記憶になかったカケスの声が、今年の秋はお城山で普通に聞かれる。冬に備えてどんぐりの貯蓄活動をしないと、どうにも収まらないらしい。写真はなかなか撮らせてくれなかったが、ようやく後姿ながらキャッチできたので掲載する。
 日本のものは頭の胡麻塩模様がはっきりしている亜種だが、基本的にユーラシアの共通種。私も幼少時に「シートン動物記」で、カケスはお山のやかましやというイメージをばっちり刷り込まれた口だが、北米のものとは別種らしい。かなりヒステリックな鳴き方をするのは確かながら、お城山では圧倒的勢力のヒヨドリに押され気味の様子。いちおう冬鳥のアイコンを入れておくが、春にも一度それらしい姿を見かけているので、普段からいちおうお城山も行動圏に入れているのかもしれない。比較的奥地へ行くと年中声が聴ける。
(04.10.20)

 



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